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ベッドの上で医学書に目を通していたローはふと自分の傍らで眠るAに視線を落とす
あの後、シャボンディから何とか逃げ出すことが出来たロー達
思わぬ強敵を相手にし仲間達はかなり疲弊していた
船に戻り少し落ち着きを取り戻したAも自分達の部屋に戻るなり気を失った様に眠ってしまった
今も彼女が起きる気配はない
ﾛｰ「...」
Aの綺麗な髪を解かす様に優しく触れる
「...ん、ロー...」
ﾛｰ「ｯ... はぁ、勘弁してくれ。」
ローは片手で自分の顔を覆い項垂れる
この船は決して小さくは無いが、手術室など特殊な設備が必要なため広々と使う事は難しい
部屋割を決める時にローと同室で構わないと言ったA
結果、ローは後にその事を後悔する羽目になった
子どもの頃から常に一緒に過ごしてきた為か何も気にかけていない彼女に対し、ローはそうもいかなかったのだ
━━ ━
ﾛｰ「お前は一人部屋にしろ。」
「一人部屋はローが使うべきよ。本や研究道具を置く場所が必要だし、そもそも船長でしょ。」
ﾛｰ「お前は女だろ。」
「海賊やってて女も男もないわ。どうしてもって言うなら私はローと同室でも構わないけど。」
ﾛｰ「それは俺が困るんだ。」
「？...まぁ、それもそうね。」
ﾛｰ「？」
「ローは遅くまで医学の勉強をしているし一人で集中したいものね。分かった！私はペンギン達と同室にしてもらうわ。」
ﾛｰ「待て」
━━ ━
と言った経緯で現在に至っている
時々現れるAの無防備さにローはいつも悩まされていた
幼い頃に出会い、苦楽をともにしてきた二人
家族も居場所も失い、悪に染まり、ある人に救われ
そして、その人を目の前で奪われた
共通する点が多すぎる二人の関係はとても特別だった
ローはAを誰よりも信頼しているし、最も良き理解者だと思っている
自分は初めからAにだけ心を許せたし、彼女以上に大切なものはない
仲間と言うには思いが強く
家族愛のそれでもなかった
ローは自分がAに抱くものを既に自覚していた
伝えられないのは、自分には果たさなければならない使命があるから
大切な人を殺されたあの日から、二人の目的はただ一人の男を討つこと
ﾛｰ「...A」
だから、この感情は閉まっておかなくてはならない
ﾛｰ「...好きだ。」
眠るAに顔を近づけローは髪に唇を寄せる
この言葉が誰にも聞こえていないことを祈りながら
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作者名：ゆんゆ | 作成日時：2016年10月3日 20時
