能面を剥がしたい【BL】

6 ページ9

片岡side




(もっと上手くいくと思ってたのになぁ……)




自分の見落としに溜め息が出る。



………全ては計算通りだった。


私が総務になったこと。


借り物競走のお題を決めたこと。


“今日一番目立ってた人”というお題が涼太に渡ること。


そして涼太が私のところに来てくれること。


同時に、涼太のファンへの牽制ができること。



………全部全部、計算してたはずなんだけど、ね。


想定外だったことと言えば、真っ先に景品のことが思い当たる。

理由は、今年から先生が景品を決めることになったから、かな。


スイパラのチケットなんて、甘いものが苦手な涼太向けじゃない。

だけど、涼太と行ければよかった、なんて期待もあったり。


ここまで仕組んでおきながら、今更純粋な感情を抱くなんて。


やっぱり私、相当涼太に惚れてる。



………しょうがないから、スイパラは友達と行こうかな。




ガラッ




「よ、片岡」


「夏川くん……」




彼は左手をポケットの中に入れて、右手をヒラヒラさせながら近づいて来る。

ついでに胡散臭い笑みも浮かべて。


表情筋のある人は苦手だ。

年中能面の涼太や、年中笑い上戸の友達と話しているから。




「どうしたの？」


「さっきの借り物競走、楽しかったぜ。ありがとーな」


「こっちこそ。で、それだけ？」


「おいおい、ノリ悪ぃな。一ノ瀬と話してるときはそうでもねーけどな？」




何が言いたいの、と切り返す。

見落としさえしたが、私の計画は万全だったはず。

…………感付きはしても気づきはできないでしょうよ。


彼はもう一度口を開いた。





「なかなか面白い計画だったぜ？」







–––––––––学校行事も巻き込んでアピールするとかさ。

7→←5

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す