能面を剥がしたい【BL】

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夏川side




体育祭当日。




「あっぢぃ〜、マジ救護班ずりぃわ……」




悪友が呟く。


こいつは道具班。

主な仕事内容は競技ごとの道具搬入。

待機場所、校庭。




「お前、総務やりゃあよかったじゃん。道具班とか死亡案件なのに」


「総務は片岡が取っちまったからな」


「救護は？」


「夏川と一ノ瀬が取ったから、顔面偏差値平均の俺らが気まずくなる」


「はは、悪かったな」


「絶対思ってねーだろ」




今は選抜リレーらしい。悪友は着順を記録するボードを取りに行った。

すげー暑そう。ドンマイ。



隣からパイプ椅子の音が聞こえる。一ノ瀬がトイレから戻ってきたみたいだ。




「次の選抜リレー、片岡が出んの？」


「うん。今年も勝つって言ってた」


「俺ら片岡と同じクラスでよかったな、ホントに」


「夕梨がいれば勝ったも同然だしね。ほら、」




校庭を見ると、片岡がアンカーとして走っている姿が。周りの走者をごぼう抜きしている。




パァン




「うん、勝った。今年は総合優勝も狙えるんじゃない？」


「アホか。まだ借り物競走が残ってんだろ」


「借り物って言ってるけど、本当は全部人がお題なんだって」


「マジかよ。カップル爆誕じゃねーか」




だね、と一ノ瀬。……リア充になってたまるか。




「けど、俺たちは事実モテてるし。やっぱり選ぶ側っていいよね」


「ちょww本音がwww」




まぁわかるんだけどな。

放送席のボサっとしてる系男子にひと睨みされる。さーせん。




“………次は借り物競走です。選手の皆さんは位置について下さい”



「じゃあ、行こっか」


「貫禄ありますなぁ〜」




私服特化型女子の数、今年は去年より多そうだ。

目を動かせば至るところに見つかるわ見つかるわ。

…………………お前らそんなんで体育祭できんのか？(至極正論)









「夏川のお題、何？」


「俺？俺は“死んでも生き返りそうな人”なんだけど。一ノ瀬は？」


「俺は–––––––」



……………は？

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