11話 意気込む ページ14
．
『なんでもない日のパーティ、というものについて何か知っていらっしゃいますか？』
「そそそそそれは！うちの寮のパーティのことですぅぅぅ！！！！」
その場にいることに耐えきれなくなったのか、質問を返しながら今までの者と同じように逃げ出してしまった。
『あ！ちょっと！待ってください！もっと詳しく！！』
ロザリアはそういえばあの生徒はケイトとトレイと同じ腕章にリボンを付けていたなと思い返す。
2人と同じ寮でのパーティ、ということが分かったのは一歩前進だが、場所はどこなのか、ここからどう移動するかという疑問は依然として解決してはいない。
(寮はどこに…？)
(やっと教えていただけると思いましたのに…)
『はぁ…何がいけなかったんでしょう…』
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
……
(
初めて受ける対応が積み重なる度に胸を針でチクチク刺されていくようだった。
何度逃げ出されても、次の人こそはきちんと対応してくれる！とめげずに頑張っていたが、とうとう心がポッキリ折られてしまった。
いつの間にかじわりじわりと滲んでいた涙を、慌てて白い手袋に覆われた手で乱暴に拭った。
(いけません！こんなことで落ち込んでいては、あれだけ憧れていた学校生活はまだ始まったばかりなのですから…！)
(さっきの方だって、行ってしまわれましたが質問には答えて下さりましたし！きっとあと何人かに聞いてみれば…！)
拳を強く握って、風貌には全く似合わないガッツポーズで意気込んだ。
(それに！私には心強くて優しい新しいお友達もできたんですし！)
ｺﾂｺﾂ…と静かで品のある足音が1つ聞こえた。
(…！？！？)
驚いて反射的に隠れてしまった。
とは言っても、キャンバスから見えなくなることは出来ないので顔を手で覆い隠しただけだけれど。
隠れる必要は全くないのだが、今まで怖がられたことで人と会うことが少しの恐怖になったのかもしれない。
(この方にも、きっと怖がられてしまう…)
そう考えると先程の意気込みが嘘のように消えてしまった。
ラッキーアイテム
ダイヤのキャンディ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 28人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ななし(プロフ) - プリメロンさん» ありがとうございます！そう言ってもらえるとすごく励みになります…！社畜の身なので頻繁に更新することは叶いませんが、これからも息抜きに書いていきたいと思っております (2021年6月8日 17時) (
レス) id: edbe6aadbb (このIDを非表示/違反報告)
プリメロン - ロザリアちゃんが可愛くて大好きです。続きが楽しみです。 (2021年6月8日 13時) (レス) id: b71badc53a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ななし | 作成日時：2020年7月12日 6時
