幸世ノ形 ページ42
「A、そろそろいい?」
『やだ、』
「でも僕も、Aの顔がみたいな」
『…かっこ悪いよ?今のボク』
「それでもいいよ、カッコ悪くてもAはAでしょ?」
耳元でまるでボクを宥めるかのように優しくそう話しかける順平の声に
きつく回していた腕を少し緩めて、まだ涙の止まらない顔を上げた
順平はやっぱり、優しい表情を浮かべていて
ボクの顔を見ると、くしゃっとした笑みでボクの頬に流れる涙を拭った
「ふふ、Aでもそんな泣き方するんだね、涙で顔がぐしゃぐしゃだ」
『だって、だって……んぅう"』
「あぁ〜っ、な、泣かないで…!ほら、僕は大丈夫だから」
ボクよりも華奢で小さな掌がボクの頭を撫でる
好きな子の前ではカッコつけてたいし、かっこよくありたい
でも、今この時はただただ順平が生きていることが嬉しくて
同時にもしも目覚めていなかったらと思うと未だに不安が募って
ぐちゃぐちゃになって整理のつかない感情が涙となって零れ落ちる
かっこ悪いとかそんなことすらどうでも良くなるくらい、順平の存在が第1なのだ
「あの時ね、多分、僕は死ぬ気だった」
『実際死にかけてたよ…』
「うん、そうだね……でも、Aが来てくれたから、僕は今生きてるんだよ、死にたくないって、そう思えた」
順平の両手がボクの頬を包む、暖かいその体温と、ボクの掌から伝わる彼の鼓動が心地よくて
深緑が混ざった彼の瞳は、ただひたすらに優しくて、澄み切っていて
笑みとともに細められた瞳に釘付けになる
「僕は、Aに沢山感謝してるよ。今の僕じゃ返せるものは少ないけど、いつかAに僕から何かをしてあげられるくらい強くなるから」
とくん、とくんと、生きていく証の心音が少し早まる
順平はその笑みを少し照れくさげに変えて、瞬きと共に一瞬視線を逸らした
気づけば涙は止まっていて、順平が再びボクを見た時に
その言葉は耳に飛び込んできた
「だから僕を、僕が心の底から好きだと思える…Aの隣にいさせてくれないかな?」
あぁ、幸せだ
どんなに苦しくても、今のボクには順平がいれば十分だ
『……うん…っ、うん……いいよ、勿論だよ、もう、ボクの隣から離れないで…、離れようとしないで…ッ』
「えっ、泣いて……せ、せっかく止まったのに、それ以上泣いたら後で目が腫れちゃうよ?!」
たとえ前の世界のボクが居なくなったとしても
もう、ボクにはこれだけで、十分すぎるほど幸せだ
お前らほんとに覗くの大好きだな!!???!→←きっと君のおかげだから
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紅丸(プロフ) - arnkm46561さん» リクエスト承りました!何件かリクエストが溜まり次第一気に書かせていただきます! (2021年3月9日 7時) (レス) id: c6adbfb1eb (このIDを非表示/違反報告)
arnkm46561(プロフ) - リクエスト失礼します! 一つ目 夢主くんの女体化&猫耳 が見たいです!無理なら構わないです! (2021年3月9日 7時) (レス) id: 01b2c0f9b6 (このIDを非表示/違反報告)
垢なし - 自分も何週間前にありました!。吐きそうなくらい緊張しました!((おい。受験頑張ってください! (2021年3月4日 21時) (レス) id: 5f562d56d2 (このIDを非表示/違反報告)
うんうん - いってらっしゃい!です!私は来年ですが頑張ってください! (2021年3月4日 20時) (レス) id: 64517bd580 (このIDを非表示/違反報告)
武闘派インドア(笑)(プロフ) - 私もです!!お互いに頑張りましょうね!! (2021年3月4日 19時) (レス) id: a437784ea7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紅丸 | 作成日時:2021年3月1日 20時