吉野順平ガチ勢が原作をぶっ壊す話2

原作知識あれば助かるけどそれだけ大変だよね ページ32

交流会の映像が移るテレビモニターがかけられた和室に座り

その様子を見やる

グダグダな歌姫先生のありがたいお言葉とやらが遮られて始まった交流会

きっと、普段ならば真っ先に順平くんを目で追うだろうが

今は普段とは少し違う


『あ"ー…くっそ、思い出せない………、そもそも順平目当てで転生してるからかな…』


ボクは五条先生の言葉を聞いたあと、すぐに自身の記憶

前世の記憶を思い出そうと励んでいた

だが不思議なことに、順平に関する原作知識以外が霞んでいるのだ

恐らくだが、そもそも順平の死を変えるために転生したわけであって

それ以外の原作知識は不要と見なされたのだろうが…


『前世のボクの命と引替えに、順平が死ぬ未来をねじ曲げた1種の縛りみたいなものか…』


順平に少しでも掠っている情報ならばはっきりと覚えている

ネタバレしまくる友人がいたおかげで下手したら本誌おってるレベルの情報は聞いていたから

順平が悠仁くんの煽り素材として渋谷で出てくるとか何とかっていう話も覚えてる

だが肝心の交流会についての記憶がさっぱりだ

まぁそれもそのはず、そもそも吉野順平は交流会に居ないはずの人間

記憶がある方がおかしい


『仮にここから先の記憶を思い出すことがあるとするなら、それはそれなりの縛りを課した時だけか……あーもう面倒くさ！』


呪術廻戦という作品はキャラの死が多かれ少なかれあるはずだ

順平はその中でも早い段階で退場したキャラ、順平が退場するまでの原作知識ならあるが

それだけではここから先の動きは読めない

渋谷で順平くんが一瞬出てくると言うが生き返ったという訳では無いためにそこも謎だ

空白の記憶が多すぎる、なんとも気持ち悪い感覚だ


ふと見遣ったテレビモニターには、式神を駆使して京都校のメンバーの攻撃を防ぐ

順平の姿が映っていた

両校の潰し合いか、それとも……どちらかがどちらかの生徒を狙った動きか…


『まぁ……とりあえず、ボクもボクで動きますかねぇ…』


片手に持った鎌をぐるりと大きく回して歯をなぞる

前世の記憶、原作知識、それがあればこの世界で死ぬ人間を

全員救うことだって可能かもしれない

けれど同時に、｢もしもできなかった時｣

ボクはどうなるのだろう、きっとボク自身をせめて、壊れてしまう気がする

人の死を背負うという責任を、順平に続いて再び背負うことを

ボクは少し、恐れている

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