〜43話〜 ページ44
船に戻ると何人かの船員達も顔に傷や腕に傷を負っていた。
甲板を忙しそうに動いているホンゴウさん。
シャン「忙しそうだな」
「そうですね」
止血はしたが、その布を血は汚していた。
シャン「ホンゴウ 消毒液と包帯貰ってくぞ〜」
ホン「怪我したのか！？」
すぐにこっちに来てくれる。
「大怪我じゃないので大丈夫ですから他の人達を優先して下さい」
ホン「見せて見ろ」
言われる通りに、ホンゴウさんに手を差し出すと手首を捕まえる。
ホン「刃物でも握ったのか…」
「それしか方法が無かったので」
シャン「浅いはずだ 俺がやる」
ホン「頼む」
消毒液と包帯を受け取り、人気の無い所に置いてある樽の上に座る。
正面に立つお頭が手に巻かれている布を取ると、少量の血が垂れた。
「ッ！？」
垂れた血をお頭の舌が舐める。
シャン「拭く物が無いからな」
「か、か、感染症にでもなったらどうするんですか！」
シャン「Aから貰った病で死ねるなら悪くねェな」
「何言ってるんですか！」
空いている手でお頭の頭を軽く叩く。
シャン「いて」
消毒液の蓋が開くと手の平に液が掛けられると鋭い痛みが走る。
包帯を2人で巻く。
利き手じゃないからいいか。
「ホンゴウさんの手伝いしますけど…買い出しはまた明日にします？お頭？」
私の事をジッと見つめているお頭。
「お〜い！お頭」
顔の前で手を振るが返事もしないお頭。
自身の手袋を外し私の頬に触れた。
冷えている頬に触れる手は凄く温かい。
目を瞑ってその温かさに浸っていると、唇にガサついた何かが触れる感触。
その感触に、目を開けた。
今までもこの距離にお頭の顔があった事はあったが今、この時の距離には胸が苦しい。
私から離れて行くお頭の首に腕を回した。
「‥‥も…ぃかい」
途切れ途切れに出た言葉を聞いたお頭は目を大きく開いたがそれは、すぐに猛獣の目へと変わった。
食われると思った時には、腰に手が回されている。
シャン「良いんだな」
恥ずかしさを隠すようにしたを向いて、お頭のシャツを握って頷いた。
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作者名：アルマジロ
| 作成日時：2022年9月17日 23時
