〜2話〜 ページ3
「お頭 おはようございます」
疲労困憊が顔から滲み出ているお頭の横に座る。
シャン「よォ A」
二日酔いの時より酷いのではないかと思う程に声が枯れていた。
「朝ご飯食べたら代わりましょうか？」
シャン「頼む」
お頭の腕の中で気持ち良さそうに眠るウタの頭を撫でているとテーブルに朝食が置かれる。
ルウ「はいよ」
「ルウさん ありがとうございます！」
綺麗な黄金色の食パンに自家製のブルーベリージャムが塗られている。
シャン「よくもまあ そんな食い物毎日食えるよなァ」
「大好物ですから」
食パンにかぶりつくと良い音が鳴る。
山盛りに乗っているジャムが垂れて来るので舌で器用に舐めると横から視線を感じた。
食べながら横を向く。
「なんれすか？」
シャン「付いてる」
口元にお頭の指先が触れる。
指先に付いたジャムをお頭が食べた。
シャン「‥‥まっずっ！！！んだこれ食えたもんじゃねェよ！」
「ちょ、お頭声が大きいですって」
腕の中に抱えているウタに視線を向けると眉間に皺が寄って今にでも起きそう。
恐る恐るウタの顔色を伺っていると船が大きく揺れた。
瓶に入ったジャムをすくう為に用意してあったスプーンが落ちて音が鳴る。
「あ」
ウタ「ふ、ふェ」
薄っすらと開いた瞳から大粒の涙が零れ出すと悲鳴に近い鳴き声をウタが上げた。
シャン「A〜〜〜〜！！！」
「私のせいですか！？！？」
――――――――――バンッ！
食堂の扉が壊れそうなぐらい強く開く。
スネイ「お頭 南の方に敵船が見えるが進路変更するか？」
「スネイクさん さっきの揺れはその海賊？」
スネイ「あァ‥そうだけどっておい！A！！」
半分になった食パンを無理矢理口の中に突っ込んで食堂を飛び出した。
廊下を歩いている船員達の間をすり抜けて甲板に出ると、南の方を見ると目視でも確認出来るぐらいの距離に敵船の姿がある。
「ぶっ殺す」
可愛い、可愛い、私の妹を泣かしたこの罪の大きさを味わせてやろう。
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作者名：アルマジロ
| 作成日時：2022年9月17日 23時
