〜19話〜 ページ20
その後、マキノさんに色々と聞いた。
私はこのフーシャ村の砂浜に倒れているところを漁師さんが見つけてくれたらしい。
治療は1人しかいない医師とマキノさんが必死にしてくれたおかげで一命は留めた。
問題なのは、私がこの村に流れつく前までの記憶が一切無いことだ。
ただ、覚えているのはヴァジュラ・ネーロ・D・Aという名だけ。
思い出そうとするとぼんやりとした影しか思い出せない。
それは赤色だった。
でも、それが誰で何なのかは分からない。
月日だけが経ち、此処に来て1年程経過した。
私はどうも体を動かしてないと落ち着かないみたいで山に木を伐りに行ったり、たまにマキノさんの酒場のお手伝いをしている。
今日も伐った薪をマキノさんの所に持って行く。
「ルフィ いつもいつも来なくていいんだよ？」
ゆっくりと距離を近くするのに時間が掛かったルフィとはすっかり手を繋げる仲になった。
ルフィ「行きたいの！！」
「はいはい マキノさん所で寝ないでよ？」
ウェスタンドアを開けて、今日も騒がしい酒場に入る。
「マキノさん ただいま帰りま…し…た」
中には大勢の見知らぬ人々。
大勢の男達に囲まれて暴力を振るわれる毎日の記憶が蘇る。
ぎこちなく後退りしてしまう。
マキノ「Aちゃん おかえりなさい」
名前を呼んだ瞬間に、騒がしい場が静まり返った。
そして、一斉に全員の目が私に向く。
体が硬直してしまい動けなくなる。
蛇に睨まれた蛙状態。
ルフィ「A？」
手を繋いでいたルフィの声にハッとする。
いつの間にか、赤色の派手な髪色をした男性が目の前に立っていた。
シャン「A」
「‥‥‥‥誰ですか」
シャン「だっはははは！冗談はよせ！久々の再会に面白れェこと言うじゃねェか！」
肩に手が置かれそうになるのでその手を叩いた。
「さ、触らないで下さい」
シャン「おいおい」
ベック「お頭 可笑しいぞ アンタ 名前は」
横からもっと大柄男性が来る。
「私は‥ヴァジュラ・ネーロ・D・Aです」
赤髪の男から笑みが消えた。
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作者名：アルマジロ
| 作成日時：2022年9月17日 23時
