【アーサー】そとがみたい(シリアス) ページ20
「…ねえ、アーサー。そとが見たい。」
「ダメだ。」
「そっか。じゃあいい。」
私はいつからか記憶を失っていた。
この大きな屋敷でで、こうやって車いすで生活をしている。
唯一、アーサーだけが私とこの世界を繋いでくれている。
ただ私は、外がみたい。
この屋敷はとても大きいけれど、窓は全てカーテンがかかっていて触ったらアーサーに怒られてしまう。
だから毎日のようにアーサーに「外がみたい」と言うけれど
そう言うとアーサーは悲しそうな顔で、「ダメだ。」と言う。
アーサーはどんな願いも叶えてくれるけれど、このお願いだけは聞いてくれない。
ただ、怖くて怖くて仕方がなかった。
毎日毎日響き渡る大きな大きな怒鳴り声。ガラスの割れる音。火が燃える音。
「アーサー、やだっ、どこにいるの!?」
「大丈夫だ、A。俺はここにいるんだからな。」
こうやって毎晩毎晩、私の手をさすってくれる。
この屋敷には私とアーサーしかいない。
「外には悪い人しかいないから。」って言う理由で客人も招いたりしない。
だから、私の世界はアーサーで完結してしまっている。
そう、それはまるで…
*
「…ヤバいな、そろそろ。」
「どうしたの?アーサー。」
朝、起こしに来てくれたアーサーが、私を抱きしめた。
倍強い力で抱きしめられ苦しくなる。
「あー、さー?」
「もうすぐ、あいつが来る…アイツがっ!Aをさらいに…!」
「アイツって誰?私はどこにも行かないよ?だから、アーサー…」
突然私を離したと思えば、私の手を握っていつもより少し乱暴に車いすに座らせた。
普段からゆっくりめに押されていた車いすが今日は強い力になる。
窓しかない大きな廊下で、アーサーは車を止めた。
普段はカーテンがかけられている窓。
あれほどダメだと言っていたにしてはあっけなく、アーサーはカーテンを開けた。
そこには、想像も出来なかった光景が広がっていた。
アーサーの話だと、この屋敷の庭は薔薇が綺麗に飾ってあるらしい。
__なのになんで全て枯れているの?
アーサーの話だと、この屋敷の外の景色は綺麗らしい。
__なのになんでこんなにゴミだらけなの?
「アーサー、これは、な…」
「なあ、これでわかっただろ!?」
またアーサーに抱きしめられる。
「外の世界なんて、こんなくだらない光景しか広がってないんだよ!なあ、お願いだから俺から離れないでくれっ!」
「アーサー…」
私はアーサーを抱きしめ返した。
少し、アーサーが泣いていた。
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ミファ(プロフ) - エリジャさん» ありがとうございます! (2017年4月25日 21時) (レス) id: 9307a90a97 (このIDを非表示/違反報告)
エリジャ(プロフ) - ミファさん、こんにちは。イベント参加ありがとうございます!!読ませていただきましたが…ぶ、文才が凄すぎる………すごく上手いですね!!これからも頑張ってください!応援しています!! (2017年4月25日 21時) (レス) id: 3c22eecada (このIDを非表示/違反報告)
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