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【アーサー】そとがみたい(シリアス) ページ20

「…ねえ、アーサー。そとが見たい。」

「ダメだ。」

「そっか。じゃあいい。」

私はいつからか記憶を失っていた。
この大きな屋敷でで、こうやって車いすで生活をしている。
唯一、アーサーだけが私とこの世界を繋いでくれている。

ただ私は、外がみたい。

この屋敷はとても大きいけれど、窓は全てカーテンがかかっていて触ったらアーサーに怒られてしまう。
だから毎日のようにアーサーに「外がみたい」と言うけれど
そう言うとアーサーは悲しそうな顔で、「ダメだ。」と言う。
アーサーはどんな願いも叶えてくれるけれど、このお願いだけは聞いてくれない。


ただ、怖くて怖くて仕方がなかった。
毎日毎日響き渡る大きな大きな怒鳴り声。ガラスの割れる音。火が燃える音。

「アーサー、やだっ、どこにいるの!?」
「大丈夫だ、A。俺はここにいるんだからな。」
こうやって毎晩毎晩、私の手をさすってくれる。

この屋敷には私とアーサーしかいない。
「外には悪い人しかいないから。」って言う理由で客人も招いたりしない。
だから、私の世界はアーサーで完結してしまっている。
そう、それはまるで…



「…ヤバいな、そろそろ。」
「どうしたの?アーサー。」
朝、起こしに来てくれたアーサーが、私を抱きしめた。
倍強い力で抱きしめられ苦しくなる。

「あー、さー?」
「もうすぐ、あいつが来る…アイツがっ!Aをさらいに…!」
「アイツって誰?私はどこにも行かないよ?だから、アーサー…」
突然私を離したと思えば、私の手を握っていつもより少し乱暴に車いすに座らせた。
普段からゆっくりめに押されていた車いすが今日は強い力になる。
窓しかない大きな廊下で、アーサーは車を止めた。
普段はカーテンがかけられている窓。

あれほどダメだと言っていたにしてはあっけなく、アーサーはカーテンを開けた。
そこには、想像も出来なかった光景が広がっていた。

アーサーの話だと、この屋敷の庭は薔薇が綺麗に飾ってあるらしい。
__なのになんで全て枯れているの?

アーサーの話だと、この屋敷の外の景色は綺麗らしい。
__なのになんでこんなにゴミだらけなの?

「アーサー、これは、な…」
「なあ、これでわかっただろ!?」
またアーサーに抱きしめられる。

「外の世界なんて、こんなくだらない光景しか広がってないんだよ!なあ、お願いだから俺から離れないでくれっ!」
「アーサー…」
私はアーサーを抱きしめ返した。
少し、アーサーが泣いていた。

【ドーヴァー】Peu ma marionnette(シリアス・ヤンデレ?)→←3



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ミファ(プロフ) - エリジャさん» ありがとうございます! (2017年4月25日 21時) (レス) id: 9307a90a97 (このIDを非表示/違反報告)
エリジャ(プロフ) - ミファさん、こんにちは。イベント参加ありがとうございます!!読ませていただきましたが…ぶ、文才が凄すぎる………すごく上手いですね!!これからも頑張ってください!応援しています!! (2017年4月25日 21時) (レス) id: 3c22eecada (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ミファ | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2017年4月1日 18時

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