【フェリシアーノ】画家と青年（シリアス） ページ12
(男主)
「綺麗な絵ですね。」と話しかけた男がいた。
「ありがとう！」と青年は笑顔で答えた。
＊
Aは、昔から絵を描き続けてきた画家だった。
しかし、その絵はあまり評価されず、あまり注目されていなかった。
水の都、ヴェネチアに気分転換で訪れた彼は海で絵を描いている青年を見つけた。
青年はふんわりとした雰囲気で、「天使」そんな言葉が似あうようだった。
彼の目線の先には可憐な少女。いい絵のモデルになりそうな少女が鳥にエサをやっている。
二人は年も近そうで、年頃の男女だ。付き合っていてもおかしくはない。それに、青年はなかなかの伊達男でもある。
しかし、それ以上に目がくぎづけになったのは青年の描く絵だった。
優しいオーラが絵の中の少女を温かくつつみこんでいる。光の差す水の都の背景も、少女の今にも動き出しそうなポーズも、とても素晴らしい。
感動のあまり、Aはつい彼のことを気にせず話しかけてしまった。
「素敵な絵ですね。」と。
すると青年は気が付きこっちを見る。「ありがとう！」と答えた。そして付け加えるように「俺、絵を描くのすごく好きなんだ！」とも。
こんな自分より年下の青年が受け入れられ、大切にされている。それだけで多少Aは嫉妬したがなんだか彼の絵を見ているとそれすらわかなくなる。
「彼女とはお付き合いしているんですか？」と聞く。
「ううん。彼女はただのモデルだよ。近くのパン屋の娘さんみたいなんだー！」
たいそう笑顔で。
「この街はいいですね。絵を描きたくなります。」
「ヴェ！君も絵を描くの？」
「ええ。画家ですしね。売れていませんが。」
「そっかー！絵描くのって楽しいよね！」
無垢な笑顔を嫉妬する自分が自分をあざ笑う。この青年のようにただただ絵だけに打ち込むことができたなら…生活費だとか評価だとかそんなことを考えず、己の楽しさのみを優先する…
「俺ね、ベッラを描きたいってのもあるけれど、ただただ絵を描いていたいんだ。」
ふと青年は、呟いた。
「ほう？絵を描きたいというのは…」
「昔、好きだった子がいてね。その子が帰ってきたら俺だよってわかってもらうために、絵を描いてるんだ！」
「…その子が何年経っても？」
「うん！俺、待ってるんだ。絶対に、あの子は帰ってくるって！」
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ミファ(プロフ) - エリジャさん» ありがとうございます！ (2017年4月25日 21時) (
レス) id: 9307a90a97 (このIDを非表示/違反報告)
エリジャ(プロフ) - ミファさん、こんにちは。イベント参加ありがとうございます！！読ませていただきましたが…ぶ、文才が凄すぎる………すごく上手いですね！！これからも頑張ってください！応援しています！！ (2017年4月25日 21時) (レス) id: 3c22eecada (このIDを非表示/違反報告)
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