こっち向いて、私を見て【九井一】

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「やばい！万次郎！万次郎！」



急いで武蔵神社に走った。
東卍の集会に「やばい！」と叫びながら混ざれば、ドラケンのほかに見知った顔が数人。あ、ケースケじゃん。



「おっ、A」

「やばいの！！エマが今日熱出して寝込んでるから代わりに洗濯してたら、万次郎のお気に入りのセーター縮んじゃった！！」

「は？」

「けど、大丈夫。ドラケンがエマにあげたぬいぐるみに着せるから！あはは！」



にっこりと笑う万次郎にガタガタ震える。

だってこれ真一郎が前に万次郎に買ってあげてた奴だから、イコール真一郎の形見でもある。東卍の知らないメンバーの人たちも「あの女死にてえのか」と騒ぎはじめた。安心して、私も死にたくない。



「………って、なんでお前がここにいんだよ」

「って、なんで君たちがここにいるの？」



万次郎と同じ特服を身につけるのは先日転校した先のクラスメイト二人だ。しかも、あの二人。



「う、う、」



やばい、今さっきモロ本性出してた。
え、転校先のクラスメイトがいとこが総長務めてる東卍のメンバーとか聞いてないし知らない。



「あれぇ、君たち同じクラスの〜」

「なにお前マイキーの女？」



やばい、マイキーの女じゃなくてもいとこだと知られれば噂を広められて私の高校生ライフが最悪なことになっちゃう。

いつのまにか私の横に来た万次郎は私の頭を掴んで「そう、俺の女♡可愛いでしょ」と言った。



「誰が万次郎の女だ！こんな餓鬼！」



本音を言ってしまった後に後悔する。

顔を両手で押さえてその場に蹲れば、張本人の万次郎が「あーあ、転校先で彼氏作るのダメになっちゃったね」とケラケラと耳元で笑った。



「で、マイキーとどんな関係なんだよ」

「いとこだよ俺の。顔可愛いけど、中身残念なカワイイ俺のいとこ♡」




オワッタ。



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