45 ページ47
*
家に帰ると、自宅の前にもう何年も見続けた男が立っていた。その手の中には、女がいて。気絶しているのかぐったりとしていた。
「………ココ、お前ッ!」
走ってココに近づけば、予想通りAだった。さっき母親から連絡があった。「赤音にそっくりな女の子が訪ねてきた」と母さんは驚いていた。友達だと伝えるとココのことで、泣いては赤音になりたいと言っていたらしい。
ココは俺にAを預けると「じゃあな」と背中を向けて帰って行った。このまま彼女の自宅まで連れて行ってもいいが気絶させられているとなると大事になりかねない。
マイキーに連絡を入れ、俺の部屋のベッドで寝かせた。こう言う時はどうすればいいのか。ぐったりしているし、額にタオルでも乗せればいいのか。
濡らしたタオルを顔に乗せれば、Aが目を覚ました。厚意でやったことだがやり方を間違っていたらしい。あと熱じゃねぇって。
「あーあ、痛かったなぁ」
「……………」
「万次郎にはよくサウンドバックにされてたんだけど、好きな人にされると気絶するほど痛いんだね」
母親が作った飲み物をAはちまちまと飲みながらそう呟いた。ココがどんなふうにしたのかはわかんねぇけど、相当だったのか。
「…………ねぇ、イヌピー」
「………なんだ?」
「私の泣いた顔って、赤音さんにそっくり?」
思えば、俺の記憶の中にある姉、赤音はいつも笑っていた。時折俺が赤音のものを勝手に食ったり壊したりして怒らせることもあったが基本的なは温厚でいつも笑っているような人だった。
ココの前で泣いたことなんてきっとないはずで。
それに、ココが東卍を抜ける前に「俺の負けだわ」とAのことを話していた。
「…………俺が知っている中では、赤音はココの前ではいつも笑ってた」
「ほんと酷いよね九井くん。あの日のことも何も聞けずに終わっちゃった……っ」
.
692人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちえ - 私の最推しのイヌココが出た時はギャーギャー叫ばすにはいられませんでした (2021年11月2日 18時) (レス) id: 0560ab194e (このIDを非表示/違反報告)
ATR214YS(プロフ) - 更新ありがとうございます!!!あああもう好きっっ (2021年10月12日 23時) (レス) @page37 id: 5cda5f5352 (このIDを非表示/違反報告)
チョコプリン(プロフ) - 更新ありがとうございますぅぅやばいです!ようやくデレ九井くん登場でドキドキが止まらないのともう場地さぁぁぁんって気持ちで溢れて続きが気になりすぎます!!!、 (2021年10月12日 22時) (レス) @page37 id: e53e09d499 (このIDを非表示/違反報告)
ATR214YS(プロフ) - 場地さんんん切ねぇ😭更新お疲れ様です! (2021年10月9日 22時) (レス) @page27 id: 5cda5f5352 (このIDを非表示/違反報告)
ATR214YS(プロフ) - うわぁめちゃくちゃ続き気になるっ更新お疲れ様です! (2021年10月9日 17時) (レス) @page25 id: 5cda5f5352 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:美桜 | 作成日時:2021年10月3日 14時