こっち向いて、私を見て【九井一】

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「あーあー、どうやったら九井くん私をみてくれるのー」



学校からの帰り道、先を歩く九井くんにそう質問を投げかけるも相変わらず無視された。隣のイヌピーに回答を求め視線を送るも真顔で何も答えない。多分伝わってない。



「圭介がね、そのままのお前を好きにならねぇと意味ねぇだろって」

「圭介？」

「場地。壱番隊隊長場地圭介」

「あぁ、場地か」



この前はそれはもう大変だった。

「性格も可愛いだろ」と圭介の発言に、万次郎が「いやどこが。場地の目はふし穴か？」と全否定してその場で取っ組み合いの喧嘩が起きた。全否定された私の方が怒りたかったのに代わりに圭介が怒ってくれた。


帰る時に圭介が「そのままでいい」って言ってくれたの地味に嬉しかった。ありがとうって頭撫でたら払われちゃったけど。


そのまま三人でコンビニに立ち寄った。二人がアイスを選んでいる中、先に外に出てレモンソーダーをちまちまと飲んでいた。



「あのやめてください……！」



そんな声が聞こえて、顔を上げる。声のする方へと歩いていけばそこには中学生ぐらいの男の子と高校生ぐらいの男がいて。


見るからにカツアゲだ。
ほんと見ててアホみたい。



「ーーーあの、」



声をかければ、私を睨んでくる男。
負けじとその人を凝視して、近づいた。「なんだてめぇは」と私の前に立ちはだかった一人のその男に「ダサいですね」と鼻で笑う。



「馬鹿じゃないの。自分より小さな子相手にカツアゲなんて」

「………は？」

「見てて恥ずかしいって言ってんの」

「あ"？」



その男の手にある財布を取り上げて、中坊に近づくと「いくら取られたの？」と声をかける。5000円と答えたから、その分抜き取って「君はいい男なんだから、こんなクズ男に負けちゃだめ」と頭をワシワシと撫で回した。



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