こっち向いて、私を見て【九井一】

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「赤音さんのこと話したのかよ」



日曜、ココに誘われて外出すると赤音のことをAに話したのかと問い詰められた。隠す必要もねぇから、話したと答えればココに大きなため息をつかれた。



「喋んなくて良いことまで話したんだろ」

「Aが可哀想だと思って」



俺だってAのことを赤音と重ねてしまっている。それにココのAへの態度を見ていると彼女が不憫だったから。


何でココがAにああいう態度を取ってしまっているのか、それをAが知ることができれば少しは蟠りというかココのことを理解してくれるかと思った。


けど、結果的に違う方に転んだらしい。
Aに「九井くんが欲しい」と言われたらしい。


学校の時や帰り道などで話していて何となくは気づいていた。けど、本当少し変わっている子だ。自分が赤音に似ていることがわかったはずなのに、赤音を今でも好きでいるココに告白するなんて。



「ココ」

「なんだよ」

「赤音とAは別の人間だ。俺だって最初は受け入れなかったけど、中身は全く別なんだよ」



Aの性格もそれなりに一緒にいて楽しいし、マイキーがいう「中身が残念」の意味が俺にはよくわからねぇけど。それでも悪い子ではない。普通に俺たち不良と嫌な顔せずに絡んでいる時点でそんなのわかり切っている。



「……中身は赤音さんと天と地との差だよな」

「それは俺も思った」

「馬鹿だよなぁアイツ」



新たに注文をするココを傍、外の景色を眺めていると場地を見かけた。隣にグレージュ色の髪の女を連れている。



「場地って女いたんだな」

「あ？……ホントだ。アイツ女に興味あったのかよ。中坊のくせして」



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