9 ページ11
*
武蔵神社に行く前、イヌピーの家にお邪魔した。イヌピーが特攻服に着替えている中、さっき渡された家族アルバムをパラリと捲っていく。
「…………そっか、なんかイヌピーどこかで見たことあるなって思ってたの」
この前ちょうどクラスメイトに「乾くんとなんだか似てるね」って言われた。自分に似ているからか。小学生の頃は髪の毛短かったからか尚更だ。
そしてその赤音さんの横に映る黒髪の少年をみて、目を大きく開いた。
「九井くんと幼馴染なんだ」
「うん」
アルバムの中に映っている九井くんの視線はいつも"赤音さん"に向けられていた。そっか、と悟ってしまう。
彼は……九井くんは、赤音さんが大好きなんだ。
「こんなに好きならその赤音さんに告白すればいいのにね」
「死んだんだよ。火事で」
「え?」
イヌピーは、自身の顔の火傷に触れて小さく笑った。何かを思い出すかのように切なくて、私は「ごめん」と謝ることしか出来なかった。
九井くんはきっと大好きな赤音さんを亡くして、いきなり現れた赤音さんそっくりな私を受け入れられないんだ。
イヌピーだってそうだ、私を通してきっとお姉さんを見ている。時々甘えたそうにしているし、頭撫でると嬉しいそうにもしている。
「……けどね、イヌピー」
「…………」
「私は乾赤音じゃなくて、佐野Aなんだ」
九井くんにもイヌピーにも悪いけれど、私は赤音さんじゃない。いくら顔が瓜二つで似ていると言えども、私は赤音さんの代わりにはなれないし、なろうとも思わない。
「大丈夫、顔とか声が似ていても中身は赤音……姉貴とは天と地との差があるから」
「えぇ、それ褒めてるの?」
「赤音は性格が良かった」
「それは遠回しに私は性格が残念って言いたいの?」
.
692人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちえ - 私の最推しのイヌココが出た時はギャーギャー叫ばすにはいられませんでした (2021年11月2日 18時) (レス) id: 0560ab194e (このIDを非表示/違反報告)
ATR214YS(プロフ) - 更新ありがとうございます!!!あああもう好きっっ (2021年10月12日 23時) (レス) @page37 id: 5cda5f5352 (このIDを非表示/違反報告)
チョコプリン(プロフ) - 更新ありがとうございますぅぅやばいです!ようやくデレ九井くん登場でドキドキが止まらないのともう場地さぁぁぁんって気持ちで溢れて続きが気になりすぎます!!!、 (2021年10月12日 22時) (レス) @page37 id: e53e09d499 (このIDを非表示/違反報告)
ATR214YS(プロフ) - 場地さんんん切ねぇ😭更新お疲れ様です! (2021年10月9日 22時) (レス) @page27 id: 5cda5f5352 (このIDを非表示/違反報告)
ATR214YS(プロフ) - うわぁめちゃくちゃ続き気になるっ更新お疲れ様です! (2021年10月9日 17時) (レス) @page25 id: 5cda5f5352 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:美桜 | 作成日時:2021年10月3日 14時