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腕を掴まれて膝たち状態になる。
悟くんの言葉に、彼のお父様は信じられないと顔を歪めていた。
「ずっと五条家の人間には黙っているように彼女に口止めしたのも僕ですけど。付き合って2年は経ってます」
驚きを隠せないのは私も一緒だった。
ずっと五条家の人たちには私たちの関係を黙っているようにと口止めされていた。それなのに、こんなに堂々と今私が恋人であることを告げている悟くんに、あんぐりと開いた口が閉じなかった。
雑に私の腕を掴んでいた悟くんは、両手を差し出して「ほら」と声をかけた。見上げた先にいる悟くんが頬を緩めていて、私はそっと差し出されたその手に自分のを重ねた。
立ち上がり、悟くんに腰を抱かれてギョッとしつつ固まる。悟くんは「大丈夫」と耳打ちをして、私の背中をそっと撫で下ろした。
「改めて紹介します。彼女は、僕の恋人、水瀬A。将来僕の奥さんになる最愛の人です」
「え、」
思ってもいなかった言葉に、思わず声が出た。
悟くんのお父さんも予想外だったのか口を開けたまま固まっていて、言葉が出ないようだった。
「さ、悟お前!五条家、いや最強たるお前が、そんな一般人の女と一緒になれるわけがなかろう。何を考えているんだ。お前は呪術界__________!」
「おーっと。この世界のことはこの子には内緒で」
咄嗟に耳を悟くんに塞がれて、悟くんのお父様の言葉が途切れた。何を言っていたのかわからない。ただ「呪術界」その言葉を呟いていたのはわかる。
「五条家はすでに僕が実権を持っているようなもの。それとも、五条家次期当主であるこの僕の言うことが聞けないわけじゃないですよね?」
「………っ」
「誰がなんと言おうと、僕はAが好きなんだよ。知ってますか?愛ほど歪んだ呪いはないんですよ。これはもう僕と彼女との縛りみたいなものです。僕も彼女もお互い離れられないんで」
「じゃ言うだけ言ったから僕たちは退散しますね〜」と手をひらひらと振りながら、悟くんは私の手首を掴んで廊下へと出た。
「あの、悟くん、何がどうなってるのか、」
「Aはさ、僕から離れたい?」
「そんなことない。悟くんのそばにいたい、……けど、」
「なら、良かった。あとは安心して僕に甘えておいで。家の連中は僕には逆らえないから」
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沙羅(プロフ) - お疲れ様でした!完結おめでとうございます(^ω^)長い間読ませていただきました。番外編楽しみにしてます!甘々な展開、期待しております! (2021年4月19日 22時) (レス) id: f64d60a5d5 (このIDを非表示/違反報告)
踊る宝石(プロフ) - はじめまして!本当にこの作品大好きです。番外編がこれから少しあるんですかね?更新楽しみにしてます! (2021年4月19日 1時) (レス) id: 7183f6d526 (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 美桜さん初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年4月14日 21時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
飼口(かいぐち)(プロフ) - 一人称が僕になってる…!てことは夏油はこのときにはもう…? (2021年4月13日 21時) (レス) id: 57441fdd79 (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 美波さん初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟でお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。楽しみにしてます。 (2021年4月6日 18時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2021年4月4日 19時