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悟くんと付き合うようになって変わったことがいくつかある。大きく一つは、会いたい時に「会いたい」って遠慮なしに伝えたえられること。
「昨日中学の時のマユミちゃんに会ったよ」
「は?誰それ」
「えっと、」
自分で言っておきながら、自分の黒歴史に触れてしまう。中学時代の元友達、マユミちゃん。彼女は私とその名の通り友達だった。仲が良く私も信頼していた。だけど、ある日彼女は悟くんに告白して振られた。
それから私への嫌がらせを始めた一人だった。物を隠したり、悟くんがくれたストラップを捨てたり、いろんなことをされて、最終的にはバケツの水をかけられた。
『Aのそばにいれば、五条くんの視界に入れるじゃん。もう一緒にいる意味ないんだよね』
そう言った矢先に現れた悟くんに、彼女は顔を青くしていた。びっしょりと濡れた前髪のせいで見えなかったけれど、悟くんはすごく怒っていた。
『思い出したわ。お前、金魚の糞みてぇにAの後ろついて回ってた意識高い系女だろ。うぜぇ。てめぇみたいなの好きになるわけねぇだろ』
その子は激怒して悟くんにバケツを投げつけた。
バケツが床に落ちて音が鈍く耳に響いた。「どういうこと?」と震えた声とともに走り去る音が聞こえた。
悟くんは私の前髪をかきあげて「……ったく、ほんと世話が焼ける奴」という。全部、悟くんのせいだっていうのにね。さっきマユミちゃんにバケツを投げつけられたはずなのに無傷の悟くんが頬を引っ張った。
「お前に嫌な思いさせっけど、俺はお前を離すつもりねぇから」と言った悟くんに涙が溢れた。その日は悟くんと学校をサボった記憶がある。
「いろんなことがあったけど、マユミちゃんにね、悟くんと付き合ってるって言ったの」
「お前、自分をいじめてた奴によく言えたな」
「うん。中学卒業した時に『なんで付き合ってないの』って捨て台詞言われたから、報告しておいたの」
コンビニで会ったマユミちゃんにそう報告した時、彼女は笑顔のひとつも浮かべずに「五条くんやっと言ったんだ」とそれだけ言って私の前から帰っていった。
「悟くんはいつから私のことが好きだったの?」
「知らね」
「せっかくなんだから、教えてよ」
関係が変わって大きく変わったことはまだたくさんある。隣にいる悟くんに距離を詰めて、頬をぷにっと突く。
「出会った時からつったら?」
「絶対嘘だ」
「俺、好きな奴いじめたくなんの」
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沙羅(プロフ) - お疲れ様でした!完結おめでとうございます(^ω^)長い間読ませていただきました。番外編楽しみにしてます!甘々な展開、期待しております! (2021年4月19日 22時) (レス) id: f64d60a5d5 (このIDを非表示/違反報告)
踊る宝石(プロフ) - はじめまして!本当にこの作品大好きです。番外編がこれから少しあるんですかね?更新楽しみにしてます! (2021年4月19日 1時) (レス) id: 7183f6d526 (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 美桜さん初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年4月14日 21時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
飼口(かいぐち)(プロフ) - 一人称が僕になってる…!てことは夏油はこのときにはもう…? (2021年4月13日 21時) (レス) id: 57441fdd79 (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 美波さん初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟でお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。楽しみにしてます。 (2021年4月6日 18時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2021年4月4日 19時