43 ページ44
*
電話を終えた玄弥が部屋から出てくる。
暫くの間知ってしまった事実に呆然としていた俺は、玄弥の部屋の前に突っ立っていた。「うおっ、兄ちゃん起きてたんだ」と驚く玄弥に、「あ、あァ」と吃りながら答える。
俺に何か用?と苦笑いを浮かべる玄弥に何もないと答えて部屋に入る。Aにキスをしたあの日から連絡をしあっていないスマホを握りしめる。
「(……………Aは、玄弥の好きなやつ)」
クシャリと前髪を掴んで、その場にしゃがみ込む。
脳裏に浮かぶ
……たどり着いた結果は、Aを傷つけてしまうこと。
「(……………俺には、出来ねぇよ)」
ごめんなAと何度も心の中でAに謝り続ける。俺は玄弥の悲しむ顔を見たくない。生まれてから初めてできた弟をこの腕に抱いた時何があっても守ろうと決めていた。
スマホのロックを解除して、Aとのトーク画面を開く。止まったままのトークを破る。「次の火曜、空いてるか?」と送った。暫くして戻ってきた返信は「夜なら空いてます」とのことだった。
じゃあ夜に。それだけ伝えれば、楽しみにしていますと返ってくる。楽しみになんてしてほしくない。
「(…………いつの時代も、残酷だなァ)」
返事を返さず、布団の上に投げたスマホの画面がすぐに暗くなった。
.
289人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
青子(プロフ) - もう、切なくて胸が痛いです…更新楽しみにしています!!よろしくお願いします!! (2021年1月24日 9時) (レス) id: 32fb39756e (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - めーこさん» コメントありがとうございます!そうだったんですね、、出してからちょっとしたころに勝手に消えちゃって再上げしたんです、、また出会ってくれてありがとうございます、、まだ続く予定なので最後までご愛読お願いします! (2021年1月23日 23時) (レス) id: d3adf571e3 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - 菜一郎さん» コメントありがとうございます!映画館のくだり〜!ありがとうございます!!キュンとくるようなエピソードこれからも入れるよう試行錯誤練ってみます!! (2021年1月23日 23時) (レス) id: d3adf571e3 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - *カフェオレさん» コメントありがとうございます!単純なのでそう言ってもらえてうれしいです、私も好きです!! (2021年1月23日 23時) (レス) id: d3adf571e3 (このIDを非表示/違反報告)
めーこ(プロフ) - 初めまして!初コメです!以前読んでて突然消えてからずーーーーっと気になっててまた出会えたことに感謝感激雨あられです!更新頑張ってください!陰ながら応援してます!! (2021年1月23日 22時) (レス) id: 2c11b94916 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2021年1月14日 18時