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「…………実弥がどう想ってくれてるか、知りたい。だから、もしも私のことなんとも想ってくれてないんだったら、来なくていい。ただ、少しでも私のこと思ってくれてるんだったら、明後日……」
ーーー来て欲しい。
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一方的に電話をかけてきたソイツは言い切ると一方的に電話を切りやがった。
「…………は?」
待ち合わせ場所も、待ち合わせの時間も全て話すだけ話したAの声は密かに震えていた。それは全て賭けに近いようなもの。俺がどう想ってるのか賭けに出たのか。
男からの誘いに断りきれず行かなくてはならない。それは彼女の性格から本当のことだろう。アイツは、俺以外の前でもあんな風に笑うのだろうか。
脳裏に浮かぶその顔に、鼻から下を覆った。
俺を見つけて駆け寄ってくる姿、頬を染めて喜ぶ顔も、他の野郎に見せるのか。
電話を切られた後、連絡は何もこない。
近くにあるペンを握り、適当に出した紙の上に、アイツが言っていた待ち合わせ場所をメモする。
「……………クソがァ」
これは執着心なのか、それともただの独占欲なのか。
俺が抱いているこの感情を、Aが知ったとかどんな顔をするのか。考える暇もなく、すぐに頭に思い浮かんでしまう。
前髪を手で掻き乱し、部屋を出る。
玄弥の部屋を開ければ、すでに玄弥は眠りについていた。寝静まったソイツを起こすわけにも行かず、また後日にするかとゆっくりと扉を閉めた。
「…………狡ィ女」
ベッドに体を埋めた俺は目の前に開いたスマホの写真を眺めた。俺の隣で笑うソイツの顔に、目を逸らした。
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青子(プロフ) - もう、切なくて胸が痛いです…更新楽しみにしています!!よろしくお願いします!! (2021年1月24日 9時) (レス) id: 32fb39756e (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - めーこさん» コメントありがとうございます!そうだったんですね、、出してからちょっとしたころに勝手に消えちゃって再上げしたんです、、また出会ってくれてありがとうございます、、まだ続く予定なので最後までご愛読お願いします! (2021年1月23日 23時) (レス) id: d3adf571e3 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - 菜一郎さん» コメントありがとうございます!映画館のくだり〜!ありがとうございます!!キュンとくるようなエピソードこれからも入れるよう試行錯誤練ってみます!! (2021年1月23日 23時) (レス) id: d3adf571e3 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - *カフェオレさん» コメントありがとうございます!単純なのでそう言ってもらえてうれしいです、私も好きです!! (2021年1月23日 23時) (レス) id: d3adf571e3 (このIDを非表示/違反報告)
めーこ(プロフ) - 初めまして!初コメです!以前読んでて突然消えてからずーーーーっと気になっててまた出会えたことに感謝感激雨あられです!更新頑張ってください!陰ながら応援してます!! (2021年1月23日 22時) (レス) id: 2c11b94916 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2021年1月14日 18時