33 ページ34
*
実弥と会う回数も結構増えて、ますます仲良くなれたと嬉しく思い始めていたこの頃。私は一つ困ったことに面していた。
「ねぇ、Aちゃん。一回でいいからデートしてよ」
「……………」
どうにも私はこのよく知らない同級生に好かれてしまったようだ。同じ学部の山崎くんにしつこく話しかけられ、半ば無視をしているがポジティブに話しかけてくる。
そしてデートに誘われ、幾度となく断っている。
だけど諦めずに今日も今日とてデートを持ちかけられていた。誰もいないところで言われた今、はっきりと「私、好きな人がいるんです」と伝える。
だが彼は「へぇ、でもいいじゃん一回ぐらい」と返され、思わずポカンと口を開いていた。好きな人がいると伝えても通用しないのかな、この人には。よく女の子と一緒に見るのを見かけるけれど、彼女ではないと何度か噂で聞いたことがある。
「一度デート付き合ってあげたら、落ち着くんじゃない?嫌かもしんないけどさぁ」
「……落ち着くのかな、あれは………」
友達に相談し、出された答えがそれだった。
両肘をついて頬を抱えると「やだよそんなの」と呟いた。大きなため息をついていると、食堂にやってきた山崎くんが私を見つけるなり隣に腰掛けてきた。
ビグッと驚く私を見て、ケラケラと笑う彼に嫌な気分に陥る。そんな私を見ていた友達が山崎くんに「一回デートしたら、もうそんなにAに付き纏わない?」と聞いていた。
「え、してくれんの?」
「だから、それを条件だったら、Aも考えてくれると思って」
「一回してくれるんだったら、なんでも条件飲むよ」
私はまだその条件に乗るとも賛成してないのに、何を勝手にと思っていたがその場の雰囲気で断るに断れなかった。
どうしようと内心焦っていると、山崎くんは「当日可愛い恰好してきてね」と私の耳に口を寄せて言った。正直に言ってゾッとした。
.
289人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
青子(プロフ) - もう、切なくて胸が痛いです…更新楽しみにしています!!よろしくお願いします!! (2021年1月24日 9時) (レス) id: 32fb39756e (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - めーこさん» コメントありがとうございます!そうだったんですね、、出してからちょっとしたころに勝手に消えちゃって再上げしたんです、、また出会ってくれてありがとうございます、、まだ続く予定なので最後までご愛読お願いします! (2021年1月23日 23時) (レス) id: d3adf571e3 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - 菜一郎さん» コメントありがとうございます!映画館のくだり〜!ありがとうございます!!キュンとくるようなエピソードこれからも入れるよう試行錯誤練ってみます!! (2021年1月23日 23時) (レス) id: d3adf571e3 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - *カフェオレさん» コメントありがとうございます!単純なのでそう言ってもらえてうれしいです、私も好きです!! (2021年1月23日 23時) (レス) id: d3adf571e3 (このIDを非表示/違反報告)
めーこ(プロフ) - 初めまして!初コメです!以前読んでて突然消えてからずーーーーっと気になっててまた出会えたことに感謝感激雨あられです!更新頑張ってください!陰ながら応援してます!! (2021年1月23日 22時) (レス) id: 2c11b94916 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2021年1月14日 18時