弟の想い人に恋をしたはなし【不死川実弥】

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「意外だよなァ」

「え？」



マフラーに引っかかってしまったピアスに苦戦していると手を伸ばしてきた実弥が優しく取ってくれた。取ってくれた後、店員さんに飲み物を注文した。


不意に呟かれたその言葉に首を傾げていれば「ピアス」と自分の耳を指差した。意外とは、私がピアスを開けていることだとすぐにわかった。そんなに意外かな。うーん、でも4つあるピアスホールはよく知らない子でも意外って言われる。



「大学入学仕立ての頃だったかな、高校の友達とノリで開けちゃってね。その場のテンション？で一気に4つも」



最初は二つだけ空ける予定だったピアスホール。しかし、空けるとなんだかテンションが上がって、その勢いで気づけば4つも空いていた。


私のピアスエピソードに、彼は軽く笑って「わかるわァ」と自分の耳を見せた。初めて見た。ピアスをつけている。フープピアスがかっこいい。



「私もそういうタイプのピアス欲しいんだよね」

「じゃあいるか？」

「え？」



片方の耳からピアスを外した彼は、私に手を出すように促し、手のひらに乗せた。「一度消毒してからつけろよ」と添えられた一言に、私は手のひらを握りしめて頷いた。


自惚れてもいいのかな。
こうして身につけているものを何の躊躇いもなく私にくれたり、私と一緒にいると笑っていると言ってくれたり。好かれていると思って、いいですか？



「今、つけてもいい？」

「好きにしなァ」

「じゃあ今つける」



言われた通り、持ってきているアルコールシートでピアスを一度消毒し、片方の耳につけているピアスを外すとそれを付けた。それを指で優しく弾いて「初めての、お揃い」と自分で言って、顔に熱を集めてしまった。



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