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週末の予定を確認し、何もないことに彼に返信をすると「じゃあ日曜な」とすぐに返ってきた。手帳を開き、日付の上をハートで囲む。
講義を終えて、こちらにやってきた玄弥に「途中まで一緒に帰ろうぜ」と言われ頷くと荷物をまとめて席を立った。何故か私の荷物を持ってくれる玄弥に「いいよ!」と言ってカバンを引っ張る。
「重ィだろ。いいよ、持ってあげる」
「いいってば!私そんなにか弱くないよ」
引っ張っていると、観念してくれたのか漸く手を離して「ちぇっ」と言い歩き出す。コンビニで買った肉まんを頬張りしながら駅までの道を歩いた。
彼は兄弟の話を楽しそうにする。
弟が〜、妹が〜、兄貴が〜……と楽しげに話す姿は、実弥と全く同じだった。兄妹の絆がとても強い家族なんだろうなぁとふむふむと関心しながら耳を傾ける。
「そういや、最近兄ちゃんヤケに楽しそうなんだよな」
「そうなんだ」
「休みの日もよく携帯触ってるし」
「へぇ」
その言葉が嬉しい。
仕事の日よりも休みの日の方がメッセージのやりとりが多いのが事実。「時々スマホ見る顔がすげぇ優しくなってる」と玄弥がいい、私も自然と顔が綻んでしまった。
「…………そういえばさ、A、今週の日曜暇?」
「ごめん、その日予定が入っちゃった」
「そっか。伊之助たちとボウリング行こうって話してたから誘おうと思ったんだけど」
「ごめんね、ありがとう」
また今度誘ってねと伝えると、どこか不服そうでありながらもわかったと返ってくる。「誰かと予定?」と聞いてくるものだから、「秘密」と返す。
駅まで着いて、お互い路線が違うのでホームで別れる。ホーム内でスマホを触り、画面に映し出された写真を見ては口元を緩めた。
そんな私を向かい側のホームから玄弥が見つめていることに気付きもせず。
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青子(プロフ) - もう、切なくて胸が痛いです…更新楽しみにしています!!よろしくお願いします!! (2021年1月24日 9時) (レス) id: 32fb39756e (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - めーこさん» コメントありがとうございます!そうだったんですね、、出してからちょっとしたころに勝手に消えちゃって再上げしたんです、、また出会ってくれてありがとうございます、、まだ続く予定なので最後までご愛読お願いします! (2021年1月23日 23時) (レス) id: d3adf571e3 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - 菜一郎さん» コメントありがとうございます!映画館のくだり〜!ありがとうございます!!キュンとくるようなエピソードこれからも入れるよう試行錯誤練ってみます!! (2021年1月23日 23時) (レス) id: d3adf571e3 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - *カフェオレさん» コメントありがとうございます!単純なのでそう言ってもらえてうれしいです、私も好きです!! (2021年1月23日 23時) (レス) id: d3adf571e3 (このIDを非表示/違反報告)
めーこ(プロフ) - 初めまして!初コメです!以前読んでて突然消えてからずーーーーっと気になっててまた出会えたことに感謝感激雨あられです!更新頑張ってください!陰ながら応援してます!! (2021年1月23日 22時) (レス) id: 2c11b94916 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2021年1月14日 18時