弟の想い人に恋をしたはなし【不死川実弥】

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「絶対に誰にも言わないでね」

「約束するって」



ヘラヘラと笑う友達に、やってしまったと項垂れた。スマホの画面をモロに見られてしまった。実弥と二人で映る写真を横から覗き見した彼女は「え、なにいつの間に彼氏が？」と興味津々だった。


すぐに否定した私を見かねて、彼女は「へぇ、好きなんだ」と冷やかし混じりに目を細めていた。否定したってどうにもならない。実際私は実弥が好きだから否定するはずもないのだけど。



「でも、誰かにどことなーく似てる気が……」

「あ……うん、玄弥の………不死川くんのお兄さん」

「だからか！」



頷く私に、彼女は「不死川くんは知ってるの？」と興味深そうに尋ねてきた。首を横に振るう私に、彼女は「まあお兄さんが好きなんですって言えないよね。気まずくもなっちゃうし」と私が思っていたことと同じ意見だった。


玄弥はいい友達で、親友だとも言える。
彼は優しいから、きっと私が実弥に失恋したら距離を取ってきそうに思える。



「Aって昔迷子になったところを助けてくれた男の子がいたってよく言ってたじゃん」

「うん、いたよ。私、それで犬のお巡りさん好きになったんだもん」



私が犬のお巡りさんが大好きな理由。
名前はわからないし、顔も思い出せない。
昔行ったテーマパークで迷子になった私に声をかけてくれた男の子。その子は犬耳をつけていて、一緒にお母さんを探してくれた。



「あの子が初恋なんじゃなかったっけ？」

「……小さい頃の話だし、あの男の子のこと何もわからないの」

「探しようもないね」

「けど、今はもっと好きな人が出来たから」



実弥とのトークを開いて、メッセージを送る。
遠回しに食事にでも誘おうかなと思ったが、自分に正直に誘うことにした。



【実弥を笑わせる方法を私なりに考えました。なかなか思い浮かばななかったので、とりあえず会いませんか？】



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貴方が笑う時、そのそばに私はいたい。




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