弟の想い人に恋をしたはなし【不死川実弥】

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「………これって、脈アリだと思う？」



実弥と映画を見に行った後日、同じ大学の友人に相談していた。美術系の学部に通う彼女は恋に恋する女の子だ。相談に乗ってもらうのには適した人材。



「Aちゃんがいつのまにか恋してたなんて私キュンとしちゃったわ！」



可愛い顔に少しギャップを持たせるような蛇のピアス。それがゆらゆらと揺れているのは彼女自身が体を左右に動かしているからだった。


実弥と出会ってからそこまで期間は長くないけれど、思っていた以上に仲良くなれたと最近思うようになっている。ただの思い込みかもしれないけれど、少しは私のことを女の子として見てくれているのかなって。



「私ね、こんなに人を好きになったの初めてなの」

「そうよね、私もAちゃんからそう言った類の話聞くの初めてだもの」

「うん、だからかな。……どうしても、欲しくて」



実弥の笑顔を間近で見ていたい。
笑ってくれる顔も、照れた顔も、全部。


スマホの画面が光り、写真を明るく照らす。

二人で初めて撮った写真をすぐにロック画面の待ち受けにしていた。こんな些細なことでも私は飛び跳ねるように嬉しくなる。私が嬉しい反面、彼はどう思っているんだろう、そればかりを最近考えてしまっていた。



「……………好きだなぁ」

「私、Aちゃんのこと応援してるから！」



好きだからこそ欲張りになってしまう。
もっと近くで、実弥を見ていたい。触れたいって。


肘をついて両手で頬を包みながら「彼女になったら……、」と実弥から好きだと言われてもいないのに、その先を想像した私は顔を真っ赤に染め上げた。



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