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勤務中、書類に目を通しペンを走らせていた。俺の肩に手を置いて「いやぁ、最近俺のいとこと仲がよろしいようで」と言ってくるソイツは顔見なくてもわかる。
「この前の休みに顔出しに行ったらAはデートに出かけたって聞いてさ」
「………」
「ちなみにお前も休みだった日」
一度俺から離れると椅子に座り、こっちにまた寄ってきやがる。次は肩を組んできた。「いつのまに進展したんだよ」とニヤニヤしてくる匡近に、何もねぇよと呟いた。
ただ玄弥の誕生日プレゼントを購入するのに付き合ってもらっただけだ。たまたま買いに行こうと思ってた日、水城も予定がなかったから誘ったまでだ。
「冷たいこと言うなよ」
「うるせェ黙ってろや」
「俺先輩なんだけど」
ちぇっ、とぼやいた後に俺から離れた匡近は同じように書類に目を通し始めた。だがすぐに俺の方に顔を向けた匡近は「実際のところどうなんだよ」と口を開く。
「…………別に」
「別にってなんだよ!A、可愛いだろ?特に笑った顔なんてよ」
「……………」
笑った顔。
先日カフェで見た水城の笑顔が脳裏をよぎった。……あの顔はたしかに可愛いと思った。だがきっとそれは幼い頃の記憶の少女と被っただけだ。
「…………まァ、笑った顔はあの子に似てたァ」
「あぁ、お前が警察官になろうと思ったきっかけの子?」
「あァ」
餓鬼の頃、親に連れて行ってもらったテーマパーク。
そこで出会った迷子の女の子。その子の親を探して見つけた際に見せてくれた笑顔が、どうしても水城に似ている。
初恋なんざとは違うだろうが、彼女の言葉に俺は警察官になろうと思った。警察官になりたい理由がそんなことだと知られればひやかしを浴びるのはわかっている。だから、いつも理由を聞かれても誤魔化していた。
「お前があの子に対して恋愛感情を持っていようが否かどっちでもいいけど、適当な付き合いはするなよ」
「………水城は、玄弥のダチだぞ。そんなことするわけねぇだろ」
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青子(プロフ) - もう、切なくて胸が痛いです…更新楽しみにしています!!よろしくお願いします!! (2021年1月24日 9時) (レス) id: 32fb39756e (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - めーこさん» コメントありがとうございます!そうだったんですね、、出してからちょっとしたころに勝手に消えちゃって再上げしたんです、、また出会ってくれてありがとうございます、、まだ続く予定なので最後までご愛読お願いします! (2021年1月23日 23時) (レス) id: d3adf571e3 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - 菜一郎さん» コメントありがとうございます!映画館のくだり〜!ありがとうございます!!キュンとくるようなエピソードこれからも入れるよう試行錯誤練ってみます!! (2021年1月23日 23時) (レス) id: d3adf571e3 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - *カフェオレさん» コメントありがとうございます!単純なのでそう言ってもらえてうれしいです、私も好きです!! (2021年1月23日 23時) (レス) id: d3adf571e3 (このIDを非表示/違反報告)
めーこ(プロフ) - 初めまして!初コメです!以前読んでて突然消えてからずーーーーっと気になっててまた出会えたことに感謝感激雨あられです!更新頑張ってください!陰ながら応援してます!! (2021年1月23日 22時) (レス) id: 2c11b94916 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2021年1月14日 18時