儚い期待と後悔 ページ13
(ru視点)
森の中で見つけたあの子は酷く小さく見えた。
目を閉じて、魔法で自身の心を届ける。
大丈夫だよ、ただ安心して話を聞いて欲しいって、そういうのを込めて魔法を送る。
(……どうなってるの?なんで声が……)
Aの、声?
驚いて目を見開いた。今のはAの心の声だ。
だけど俺の固有魔法は一方的に心を届ける魔法。
Aから帰ってくることはないはずなのにどうして?
驚いたけど落ち着いて、もう一度繋げる。
ru「(聞こえる、?
俺らの事怖かった? 一緒に戻ろう、傷付ける人はいないよ)」
「(ごめんね、何も覚えてないんだ)」
困ったようにAは言った。
つまり、記憶喪失?
嫌だ、忘れられるなんて…
ru「(俺、レウクラウドだよ、分かんない?
一緒にゲームしたりゲーム壊したりしたの、覚えてない?)」
(ごめん分からない)
信じたくない……でも嘘じゃないんだよね。
ふっと心のどこかで俺だけはAに信頼されている、という希望が消えた。
それと同時に、「むしろチャンスなんじゃない?」と心のどこかで思ってしまった。
彼女の顔を見る。
なにも、覚えてないんだ。
何も覚えてないなら、思い出さないままでいい。
そうだよ、そうしたらAだって辛い思いをしなくて済むし、俺らから離れたいだなんて考えも起こさないだろう。
ru「(大丈夫、ちょっとずつ思い出していこう)」
(……うん)
不安そうな目。
俺は嘘を付いた。
手を差し出せば素直に取ってくれる。それがまだ信頼されてるって思えるから、安心した。
心のどこかで、「本当にこれでいいの?」と声がした気がする。
俺は無視して、彼女には何も伝えない事を選んだ。
あんな辛いこと、誰も覚えてない方がきっと幸せだ。
俺らの家まで無事についた時、明らかにAは動揺していた。
不安を感じさせちゃいけないよね。
ru「大丈夫だからね?」
俺の心じゃない、生の声に反応して体が小さく揺れる。
魔法で伝えた方がいいのかな、なんて思ってもう一度心を伝えた。
ru「(大丈夫だからね?)」
(ぁ、うん)
彼女も心で返してくる。
ふと、気がついた。
この子の声を、俺は今日1度も聞いていない。
ru「(喋るの難しい?)」
Aは、か細い心を伝えてくれた。
(声が出ません)
息が止まるような感覚だった。
これは、俺らのしてきた事への罰なんだろうか。
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りりべら(プロフ) - 金蛇さん» コメント気が付けなくてごめんなさい!そのシーンのイメージはアナ雪です!!良く分かりましたね! (2023年2月7日 9時) (レス) id: 7e26133d7f (このIDを非表示/違反報告)
金蛇 - 氷の城のシーンでアナ雪を思い出した…すき… (2022年10月27日 15時) (レス) @page42 id: 0468f043bb (このIDを非表示/違反報告)
りりべら(プロフ) - えるがみさん» コメントありがとうございます! そう言っていただけて嬉しいです!更新頑張ります!! (2022年9月20日 6時) (レス) id: 981ea3431f (このIDを非表示/違反報告)
えるがみ(プロフ) - めっちゃ面白いです!大好きです!あああ続きが楽しみです投稿頑張ってください! (2022年9月20日 3時) (レス) @page50 id: 024bcefcb8 (このIDを非表示/違反報告)
りりべら(プロフ) - ゆず酒ソーダさん» めっちゃ面白がって読んでくれて嬉しすぎて呼吸ができませn((( いっぱい書きます頑張ります!! (2022年9月13日 19時) (レス) id: 981ea3431f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りりべら | 作成日時:2022年8月16日 22時