10 ページ21
バタバタとスケッチブックをしまって帰る準備をし始めたわたしに
「帰んの？」
眼鏡を外したままだからぼんやりとしか表情のわからない嶺亜くんから聞こえる声が、少し淋しそうに聞こえて気にかかる。
それでもこれ以上この場所に居るのはいたたまれなくて自分の荷物をかき集めた。
「お、お邪魔しました‥」
眼鏡を取ろうとしてベッドの上に伸ばした手を、嶺亜くんに捕えられる。
引き寄せられた、と感じた次の瞬間には嶺亜くんの胸の中にいた。
ハッとして見上げた嶺亜くんの瞳にもう一度捕らえられる。
裸眼の弱い視力でもわかる、強い光。
なんて綺麗なんだろう。
こんな状況でも見惚れてしまう。
嶺亜くん‥。
ゆっくりと近づいてきた嶺亜くんの手がわたしの頬を撫でる。
それから、深くて長いキスが始まった。
何度も啄むように下唇に口付けられる。
自分の身体の力がだんだんと抜けていくのがわかる。
そのうちに緩く開いた唇の隙間からゆっくりと侵入してくる温かいものが何なのか気付く。
それがだんだんと自分のものと絡み合って、溶けていきそうになるのを自分でも抗えない‥。
頭の奥が痺れたような感覚になった頃、嶺亜くんの唇が離れた。
キスの余韻‥ふわふわとした感覚に包まれる‥。
自分が自分じゃなくなったみたいに蕩けそうになって戸惑う‥。
「か、からかわないで‥」
頭の中にわずかに残ってる理性をなんとか引っ張り出して、ようやく告げた。
「別に。からかってないけど」
どこか不貞腐れたような声。
「だって嶺亜くん彼女いるのに‥」
「いない。いたらこんな事しない」
嶺亜くんはまた不貞腐れたように顔を背けた。
「だって‥」
綺麗な彼女、いつも連れてる‥。
その言葉を告げようとしたけど
「A、鈍感過ぎ」
怒ったような呆れたような声の嶺亜くんに先を越された。
？？？
嶺亜くんが言ってる事が全然理解出来ない。
頭の中が？で埋め尽くされた。
それから、嶺亜くんは仕方ないなぁって顔をして、ちょっと溜息をついてから話しはじめた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 122人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りぷる(プロフ) - ^_^さん» コメントありがとうございます！嬉しいです♪ 女の子がお相手のお話、また書きたいなぁと思っていました！続編になるか、別の設定になるか分かりませんが、ちょっと大人な感じも混ぜながら書いてみたいと思います。気長にお待ちいただけると嬉しいです♡ (2022年5月19日 18時) (
レス) id: 37903b9c18 (このIDを非表示/違反報告)
^_^ - こちらも読ませて頂きました。どのお話も素敵でした。みんならしさがでていて、楽しかったです！このお話達の続きも読んでみたいし、裏のお話も描いて頂けたらとっても喜びます(*^^*)ご無理の無い範囲でお願いできたら嬉しいです。 (2022年5月19日 14時) (レス) @page43 id: b1e5679418 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：りぷる | 作成日時：2022年2月26日 16時
