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嶺亜くんは、立ったままわたしの作品を見ていた。
「‥これ‥俺？」
横たわる天使を指差して聞いてくる。
「えっ‥」
びっくりした。まさか本人にこんなに直ぐに見破られるなんて。
絶対揶揄われる。皮肉言われる。裸がえっちだとか、本物見たい？とか。
色んな想像が溢れて口篭るわたしに、嶺亜くんは
「こっちは‥Aちゃん‥？」
泣く少女を指差して、優しい声で聞いた。
何もかも見破られた事に戸惑い固まるわたしに、今まで見たことないような優しい優しい顔で微笑んだ嶺亜くんは
「綺麗だね」
ひとこと、言い残してまたいなくなってしまった。
今の‥何‥。
嶺亜くんに色々見破られてた事。
嶺亜くんがわたしの絵を綺麗って言ってくれた事。
いつもなら揶揄うはずの嶺亜くんが優しく笑っていた事。
色んな感情が整理できないままごちゃ混ぜになった。
ちょっと落ち着こう‥。
アトリエに戻ってカバンの中からガサゴソとジェリービーンズの袋を出した。
小さな頃からのわたしのお気に入り。
甘ったるいそのお菓子を口にすると、気持ちが落ち着く気がして、いつもカバンに入ってる。
わたしにとっての精神安定剤。
ひとつ、ふたつ‥口に入れてると、
いつのまにかいなくなっていたはずの嶺亜くんが向かいに座ってた。
ニヤニヤとしながら
「毒々しい色」
なんて言って勝手にわたしの手の中の袋から黄色いジェリービーンズを奪って食べた。
「うぇっ甘っ」
いかにも不味そうな顔をして顔をしかめる。
‥いつもの嶺亜くんだ。
その傍若無人ぶりに、逆に安心する。
さっき天使の絵の前で儚げに微笑んでいた姿はなんだったのかな‥あんな嶺亜くん、初めて見た‥
それを思い出しながら嶺亜くんの顔を見つめていると
「ねーAちゃん。一緒にお絵描きしよ」
嶺亜くんは急にわたしの手を取って立ち上がらせた。
嶺亜くんに連れられてずいぶんと歩いてたどり着いた、蔦の絡まる古い洋館。
そのクラシカルな雰囲気をひと目見て思わず
「うわー。描きたい」
心の声が口に出てしまう。
「いつでも描きに来ていいよ」
嶺亜くんは小さく笑って、その洋館の中に入った。
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りぷる(プロフ) - ^_^さん» コメントありがとうございます！嬉しいです♪ 女の子がお相手のお話、また書きたいなぁと思っていました！続編になるか、別の設定になるか分かりませんが、ちょっと大人な感じも混ぜながら書いてみたいと思います。気長にお待ちいただけると嬉しいです♡ (2022年5月19日 18時) (
レス) id: 37903b9c18 (このIDを非表示/違反報告)
^_^ - こちらも読ませて頂きました。どのお話も素敵でした。みんならしさがでていて、楽しかったです！このお話達の続きも読んでみたいし、裏のお話も描いて頂けたらとっても喜びます(*^^*)ご無理の無い範囲でお願いできたら嬉しいです。 (2022年5月19日 14時) (レス) @page43 id: b1e5679418 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りぷる | 作成日時：2022年2月26日 16時
