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かすかに聞こえたような気がする、自分の名前。
いっときの気まぐれでも自分を必要としてくれているように思えて。
今はそれだけで充分な気がした。
きっとまだ涙でぼろぼろの顔をしていたと思うけど、無理矢理に笑顔を作ってから、もう一度嶺亜くんの隣に座って話しかけた。
「彼女の話聞いてもいい？
綺麗な人‥だよね、きっと。
どんな人？」
嶺亜くんが話したいような‥誰かに話を聞いてほしいと思っているような気がして。
「あー、うん。
細くて‥抱きしめたら折れちゃいそうだった。
気強くてさ。しょっちゅう喧嘩してた。笑。
Aはさ、ほら、周りに合わせようとするじゃん。気を遣って笑ったりして。
あいつは‥そういうのしなかった。
自分は自分、って絶対曲げなかったし。
繊細で‥わがままで‥
でも‥そんなところが好きだった‥な‥」
そう言った後、嶺亜くんは静かに俯いて、目元を隠すように前髪を揺らした。
‥泣いてるの、見られたくないんだろうな‥
わたしはそっと嶺亜くんの背中に手を添えた。
遠い人を想いながら涙を流す姿は神聖で。そんな嶺亜くんに触れてはいけないような気がしたけど、
それには気付かなかったフリをして、背中を撫でた。
こんな時でも凛と背筋を伸ばしたまま俯く嶺亜くんは
今までどれくらいの孤独と闘ってきたんだろう。
「会いたいな‥もう一回‥」
呟く声は震えていたけど、とても綺麗で。
「うん‥」
わたしはそう言って、頷いただけで、
愛しい人が愛しい人を呼ぶ声を、ただ聞いていた。
それから心の中で祈った。
嶺亜くんの声が星の向こうの国まで届くように、と。
それから少しして、嶺亜くんは自分の腕で目元をサッと拭って
「あー、初めて泣けた。
なんか、スッキリした」
そう言って、照れたようにちょっと笑った。
「俺、もう泣けない人間なのかと思ってた。衝撃があった時しか」
「衝撃？」
「目にボールぶつけられたりとか。玉ねぎの汁塗られたりとか」
「何それ。罰ゲーム？」
「俺にとっては泣けないことのほうが罰ゲームだったよ。笑」
きっと今まですごく苦しかったんだろうな‥。
涙を拭いた後の嶺亜くんの笑顔はなんだか前よりも柔らかいように見えた。
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りぷる(プロフ) - ゆきさん» コメントありがとうございます♡楽しみにしていただいてるとのお言葉、とても嬉しく舞い上がっています（照）拙いお話ですがまた読んでいただけると嬉しいです！ (6月28日 2時) (
レス) id: fcab587f4a (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - いつもお話楽しく拝見させていただいてます。毎回の更新が日々の楽しみです！これからも主様の素敵なお話読むことが出来ることを楽しみにしています(*^^*) (6月28日 0時) (レス) @page4 id: 90b9db811a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りぷる | 作成日時：2023年6月21日 20時
