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「適当に座って」
嶺亜くんのマンションに入ってすぐ、嶺亜くんはソファのあたりを指差してそう言ったけど、なんとなくソファに座るのを躊躇して、ダイニングの小さなスツールに座った。
それを見た嶺亜くんは、向かい側から同じスツールを持ってきて、わたしの横に並んで座った。
それからわたしの顔を覗き込んで
「A、顔ひどいよ。笑」
と言って笑った。
泣きはらしてぐちゃぐちゃになった顔を隠す余裕も無くて、困ったように笑ったら
嶺亜くんはそれに目だけで笑って返した。
わたしの乱れた前髪を直すように触れた嶺亜くんの指が、そのまま額を滑るように撫でて、
あ、と思って見上げた途端、少し掠れた声が聞こえた。
「ちゅーしていい？」
わたしの返事を待つ前に、ちゅ、と軽く唇が触れた。
「な、何もしないんじゃなかったの‥？」
嶺亜くんはわたしの言葉はスルーして、ふは、と楽しげに笑った。
それから、恥ずかしくて目を合わせられなくて俯いたわたしの頭を撫でた。
「A、かわいい」
ますます恥ずかしくて顔を隠そうとしたその手をゆっくりと押し広げられた。
わたしの両腕に込められた力は、決して乱暴なものでは無かったけれど、
それは確かに男の人、の力で。
わたしは空中にはりつけにされた。
両手首を掴まれて動けないままのわたしを、嶺亜くんの形の良い瞳が真っ直ぐに見つめる。
からかってる。絶対。
はなして‥と言いかけたわたしの唇を塞ぐように嶺亜くんの唇が重なって、その日の二度目のキスをした。
「‥やっぱちゅーも駄目？」
きらきらと溢れるように笑う嶺亜くんの笑顔がわたしの心を締め付けるのは何度目だろう。
その度抗えない自分に溜息が出る。
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りぷる(プロフ) - ゆきさん» コメントありがとうございます♡楽しみにしていただいてるとのお言葉、とても嬉しく舞い上がっています（照）拙いお話ですがまた読んでいただけると嬉しいです！ (6月28日 2時) (
レス) id: fcab587f4a (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - いつもお話楽しく拝見させていただいてます。毎回の更新が日々の楽しみです！これからも主様の素敵なお話読むことが出来ることを楽しみにしています(*^^*) (6月28日 0時) (レス) @page4 id: 90b9db811a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りぷる | 作成日時：2023年6月21日 20時
