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「いい？」
嶺亜くんの聞いていることの意味をよく理解出来ないまま顔を見返した。
さっきまでの深いキスの余韻でまだどこかぼんやりしたままのわたしは、されるがままに両肩を掴まれて、シーツの上に横たえられた。
嶺亜くんはわたしの上に馬乗りになって、そのまま自分のTシャツを脱いだ。
それからベッドの上で動けないでいるわたしを上から見下ろしながら、ふ、と目を細めた。
その様子を見ながら、下からのアングルさえも綺麗な人だな、なんて今さらなことを考えてしまう。
呆然と顔を見つめるわたしの視線を受け止めて笑う嶺亜くんの瞳は、なんだか色っぽくて。甘い香りがしそうで。
そんなことを思っていたら、初めてこのマンションに来た夜のことを思い出して、
わたしは自分が今置かれている状況をようやく理解しはじめた。
えっと‥これってやっぱりそういうこと‥？
どこかまだ信じられない気持ちのまま、もう一度嶺亜くんの顔を見つめた。
「A、俺の顔見んの好きだな」
優しい、甘い声に、心臓がどくん、と音を立てる。
「だ、だって‥」
急に恥ずかしくなって慌てて目を逸らした。
「いいよ、好きなくらい見てて」
嶺亜くんはわたしの手を引き寄せて薬指の先に唇をつけた。
ぴり、と電流が走ったような感覚がした気がして、
わたしはますます動揺して、慌ててしまう。
「えっ？い、今の何？」
「やっぱ指敏感なんだ」
その言葉にますます恥ずかしくなって、どうしたらいいのかわからなくなってしまう。
ずっと待ち望んでいたことのはずなのに、戸惑う気持ちが大きいのはどうしてだろう。
心の準備が‥。
なんだか胸が苦しくて、涙がこぼれ落ちてしまいそうだった。
嶺亜くんはちょっと心配そうな顔をしてわたしの顔を覗き込んできた。
「せっかく楽しいことするんだからさ。
そんな泣きそうな顔しないでよ。
かわいいとこ見たいのに」
わたしの頬を撫でる手の感触。
いつも眠る前の儀式のようにわたしの頭を撫でる時と同じ心地よさだ、と思ったら
どうしてか、やっぱりこのまま流されたらいけないような気になって
わたしは戸惑いながら、疑問に思ったことを口にした。
「嶺亜くん、酔ってる‥？」
「なんで？」
「どうしたの‥？」
「どうしたのって何」
「だって急にこんな‥」
「別に急にじゃねーだろ」
眉間に皺を寄せてわたしの鼻をつまんだ後に、嶺亜くんは起き上がって自分の髪をくしゃり、と撫でた。
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りぷる(プロフ) - ゆきさん» コメントありがとうございます♡楽しみにしていただいてるとのお言葉、とても嬉しく舞い上がっています（照）拙いお話ですがまた読んでいただけると嬉しいです！ (6月28日 2時) (
レス) id: fcab587f4a (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - いつもお話楽しく拝見させていただいてます。毎回の更新が日々の楽しみです！これからも主様の素敵なお話読むことが出来ることを楽しみにしています(*^^*) (6月28日 0時) (レス) @page4 id: 90b9db811a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りぷる | 作成日時：2023年6月21日 20時
