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嶺亜くん、バナさん居なくてさみしいんだろうな。
戻ってくるまで代わりしよう‥
こっそり決意して、荷物をまとめてまた嶺亜くんのマンションに来た。
ひとりで住むには広い、2LDKのマンション。
バナさんが居なくて散らかってるのかと思ったら、嶺亜くんは意外と几帳面にあちこち片付けていた。
「意外」
「何」
「嶺亜くん、家事出来る人だったんだ」
「普通だろ」
「バナさんが全部やってるって言うから」
「居候に仕事させないと気遣うだろ」
「‥意外」
「何が」
「わたし、家事要員なのかと思ってた。バナさんの代わりの」
「何だそれ」
嶺亜くんはくしゃり、とわたしの頭を撫でた。
「A、それクセになってんの？」
「えっ？」
「仕事でもなんでも‥いっつも人の代わりして引き受けてるからさ。そう考えるのクセなのかと思って。
‥俺はAのこと、誰かの代わりにしようなんて思ったことねーよ」
もう一度わたしの頭を撫でた後、嶺亜くんは悪戯っぽい瞳をして、わたしの顔を覗き込んだ。
「あー、嘘。さっきの無し。
やっぱAは抱き枕の代わり。
A、柔らかくて気持ちいいから。
俺用の抱き枕ね」
嶺亜くんは、ぎゅむ、と音がしそうな勢いでわたしを抱きしめて
「ふかふか。笑」
と言ってまたわたしの顔を覗き込んだ。
「‥ふかふかってわたしのこと？」
「他に誰がいんの？」
「‥‥」
「A、ふかふか。柔らかくて。あったかくて」
「人をぬいぐるみみたいに言う‥」
「お前、馬鹿だねー。ぬいぐるみってあったかくないの。生き物だから、生きてるからあったかいんだよ」
わたしをからかうように笑ったその瞳が優しくて。
わたしはなんだか涙が出てきてしまいそうなのをグッと堪えた。
「でも家事要員かー。なんでそういう発想になんの？」
嶺亜くんはそう言って笑って首を傾げた。
「あー、でも俺、料理は全然出来ない」
「わたしも得意って言えるほどじゃないけど‥」
「でも俺よりはマシだろ。俺、米の炊き方すら知らないもん」
「本気？！」
「嘘ついてどーする」
「それは‥覚えたほうがいいよ。一緒にやろ？」
「やだ。めんどくさい。笑」
こんなふうにして、わたしと嶺亜くんの同居生活が始まった。
おままごとのように優しい、つかの間のふたりだけの時間だった。
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りぷる(プロフ) - ゆきさん» コメントありがとうございます♡楽しみにしていただいてるとのお言葉、とても嬉しく舞い上がっています（照）拙いお話ですがまた読んでいただけると嬉しいです！ (6月28日 2時) (
レス) id: fcab587f4a (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - いつもお話楽しく拝見させていただいてます。毎回の更新が日々の楽しみです！これからも主様の素敵なお話読むことが出来ることを楽しみにしています(*^^*) (6月28日 0時) (レス) @page4 id: 90b9db811a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りぷる | 作成日時：2023年6月21日 20時
