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星巡りと黄色い鳥の子守唄 ページ1

嶺亜くんを引っ張って歩く帰り道の途中、珍しくお酒に酔った様子の嶺亜くんは、歩きながら彼女の話をし始めた。


「突然別れたいって言われて

俺は‥あっそ、って言っただけだった。

女の子に振られるなんて初めてだったし

正直、面白くなくて

写真もLINEも全部消してさ。

やっぱ俺にはひとりの女の子と真剣に付き合うなんて似合わなかったなーって

寄ってくる女の子と楽しく遊んでる方がいいや、って思ってた頃‥思い込もうとしてた頃、

病気で亡くなった、って知ったんだよね。



もう俺にはわかんないの。

彼女が亡くなって悲しいのか

何も教えて貰えずに居なくなったのが悲しいのか

見送ることを許されなかったのが悲しいのか


ずっとわかんないまま、同じ場所にいる。



どうすればこの色の無い世界から抜け出せるのか‥自分でもわかんない。

バナのこと拾って‥面倒見てるうちに、メシは食えるようになった。

俺はあいつのこと利用してる。

いい加減あいつのこと手放して自由にしてあげなきゃって思ってるんだけど、

あいつのそばは居心地よくて‥


Aも一緒だよ。

俺のこと甘やかしてくれそうだからちょっとそばに置いてみたくなった。

それだけだから‥あんまり俺に近付き過ぎないほうがいい。

俺と関わるとロクなことない。


バナにも‥出て行きたかったらいつでも出て行っていい、って言ってるんだけどさ

そんな風に言ったら、あいついつまでも俺のそばに居ようとするんだろうな。

あぁ、もしかしてAも?

近づくな、って言うからそばにいんの?」


嶺亜くんはグイ、と身を乗り出すようにわたしの顔を覗き込んできた。


「ごめんね‥」

「‥なんでお前が謝んだよ」

「うん‥」


そんな風にしか言えないまま、またゆっくりゆっくりと嶺亜くんのマンションまでの道を歩いた。

.→



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りぷる(プロフ) - ゆきさん» コメントありがとうございます♡楽しみにしていただいてるとのお言葉、とても嬉しく舞い上がっています(照)拙いお話ですがまた読んでいただけると嬉しいです! (6月28日 2時) (レス) id: fcab587f4a (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - いつもお話楽しく拝見させていただいてます。毎回の更新が日々の楽しみです!これからも主様の素敵なお話読むことが出来ることを楽しみにしています(*^^*) (6月28日 0時) (レス) @page4 id: 90b9db811a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りぷる | 作成日時:2023年6月21日 20時

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