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youside
木「暗くなるまで話しすぎちゃったね。送る。」
「いいよ、きまちゃんすぐ家帰って手伝わなあかんやろ??」
木「今日はチビたちが頑張ってくれてるからいーよ」
「そっか、ありがと。」
たわいもない話をして、少し裸の心で話をして
気持ちが軽くなって、あたたまって。
なにか語られたわけじゃない。
ただ、話を聞いてもらったり、聞いたり
会話のキャッチボールをするだけで
なんだか暖かくしてくれるのがきまちゃん。
だから、いつも帰りは名残惜しくて。
あと何メートルだね、なんて、適当に
距離が縮むことを恨めしく思うのが私達だ。
奨「…A。」
家まで数メートル。
大きくて、逞しくて、でも柔らかな雰囲気が
会わないと思ってた。奨くんがいる。
「奨くん…」
木「じゃ、俺帰るわ。またなんかあったら連絡して。奨くん…?Aを頼みますね。」
なにかを察したようにきまちゃんが足早に去っていって、帰り際私の背中を軽く叩いた。
奨「すこし、話せる?」
「うん。」
奨「そこの公園行こ?」
そう言われて、手を引かれて
二つの意味でダメだと思った。
なぜ、いまなのだろう。
それと同時に思う自分のもうひとつに
絶望と安堵があった。
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作者名:かきのたね。 | 作成日時:2020年4月5日 1時