木槿のふたり (ページ27)

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日本人とアメリカ人ページ27

「ちょっと今のところもう一回お願いしていい？」
「はい！」

「そこ照明もうちょい絞って」
「了解です」

「今のところメンバーはメインステージに集まっててほしい」
「「「「了解」」」」

独特の緊張感のなか、コンサートのリハーサルが行われている。

「A、ジュンは話には聞いてたけど、本当にストイックだね…」
ウィルは隣で松本さんの姿に衝撃を受けている。
そりゃそうだ、私だって今の松本さんの考えこむような鋭い視線は、ちょっと怖い。

「じゃあ次！A、通訳お願いしていい？」
「はい！」
客席からマイクを通して、松本さんの指示が飛ぶ。

「今のとこもうちょっと早く、曲の終わりに合わせてほしい」
「Could you please play the music......」

「あと2枚目の衣装のとき、もうちょい柄が鮮明にならないかな」
「Is it possible for you to reflect.....」

6時間後。
約3時間のセットリスト、全ての工程のリハーサルが一通り終了した。

流石にウィルや海外チームにも疲労が伺える。
ああ、海外チームのメンバーもかなりイラついてる様子。ちょっとまずいな。

「A、日本人が働きすぎる生き物だっていうのは君を見てきて知ってたけれど、彼は君より重症だね」
「彼ら、嵐は今他の仕事も忙しくて、タイトなスケジュールのなかで動いているから…」
「うん、分かってる、僕からもフォローは入れとくから」

ウィルが海外チームのメンバーの元に行って何かを話すと、彼らはなにやら肩をすくめて、悪態をついた。

まずい。
非常にまずいぞ。

チームの結束が、コンサートを成功させるうえでなによりも重要だと、私はTOXで学んだ。
海外チームのみんなだって、嵐の、松本さんの、コンサートへの心意気を共有できれば、きっと理解してくれるはず…。