木槿のふたり (ページ26)

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久しぶりの同僚ページ26

あのあと、松本さんとは「じゃ、また明日ね～」と普通に玄関でバイバイした。

お風呂をあがってから携帯をみると、菜々からのLINEが。

［ちょっと！今度詳しく！］

………先輩、やっぱり勘違いしてる。
誤解だよ、と一言LINEを返して、そのまま眠った。

それからの数週間は、もうこんなことすら忘れるくらい、怒涛のように過ぎていった。

海外の演出チームとのコラボが正式に決定し、具体的なスケジューリングから現場視察、打ち合わせまで色んな調整をした。

今日みたいに、時差があるから夜中の打ち合わせなんかもしょっちゅうで。

＊

「ふぅ～！」
誰もいないリハーサル室に響く私の声。
現在の時刻、am2:00。流石に身体もバッキバキだ。

「A、お疲れ気味だね」
TOX時代の同僚、ウィルがテレビ電話越しに心配してくれている。

「TOXの新人時代を思い出すよ～」
「ジュンは相当ストイックらしいね」
「うん、やりがいあるよ」

ウィルは、先方との交渉を手助けしてくれたこともあって、今回また一緒に仕事が出来ることになった。

「Aのおかげで久しぶりに日本にも行けるし」
「終わったらすぐ帰るの？」
「いや、ボクは数日残るつもりだよ」
「じゃあ観光とかできるね！任せて！」

＊

じゃあまたね、とテレビ電話を切る。

コンサートまで、あともう少し。