願事レコード2.

☆51(reo) ページ1

.





怜央side









怜「あらーーーん」






ーーーAがこっちに帰って来てから4日。
顕嵐の店行こうよーってダメ元で誘ったら
案の定断られたんだけど、
その理由が引っ越しだからっていうね……。
まあ多分予定が無くても断られてたか、って
分かってるけどちょっと凹む。





……高校に戻りたいなーって思っちゃう。
楽しかったもん！みんな仲良くってさ！



顕嵐次第、なんだよなあ。







顕「あ、ながつ良いとこに来た」


これ食う？って、食べかけの弁当渡してきた顕嵐。
食う？ってか、食え！って事じゃん。




怜「食べかけかよー」

顕「食うじゃんどうせ」



って、顕嵐はチュッパチャプスを開けながら言った。







怜「…高校ん時さ、
Aの飴勝手に食べて怒られた事あったよね」


顕「…俺じゃなくてお前な」


怜「うん。あん時ビビったなあー！
くだらない喧嘩は今でもするけどあんな風に言われたの
あれが最初で最後だもん。
Aが教室出てってから顕嵐には怒られたしね！」


顕「楽しい話じゃないのに何笑ってんの」


怜「えー？だって懐かしいなって思って！」







顕嵐は無言で俺から目線を外して、パソコンを開き始めた。







怜「……けど、今思えば俺！顕嵐に一役買ってない？」

顕「あ？」

怜「Aの事は傷付けちゃったけど…。
顕嵐にとってはちょっとは良かったんじゃないの？」

顕「………。」






後から知った話だった。
あの飴は、Aの大事な思い出のものだったって話。








怜「A、数日前こっち帰ってきたよ」






俺がそう言っても、顕嵐はパソコンの画面見てるまま。






怜「藤ちゃんと、こないだ三人でファミレス行ったんだ」

顕「……」

怜「Aの夢叶うんだよ！？感動しちゃう〜」

顕「……」

怜「………会いに行きなよ？」

顕「……そういう話もうすんなっつったじゃん」









顕嵐は、いつもそうなんだよね。


Aの話を俺が始めると、最後まで聞いて
その話すんなって言う。



結局Aの近況、知りたいんだろーね。





それから"A"って、
その名前を口に出さなくなっちゃった。


意識してんのバレバレで全然忘れられてない証拠でしょ？





自分がもう会わないことを望んだくせに、
会いたくってたまんないみたい。

顕嵐のばーか。






.

★52→

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す