夢 ページ5
家に帰ってから、彼から紙片を貰っていたことを思い出す。
ポケットの中に入れていたそれを開いて見てみると、書かれていたのは電話番号だった。
本来なら初対面でいきなり電話番号を渡されても警戒すべきなんだろうけど…なぜか私はそんな風には思えなかった。
今も…どこか懐かしい感じがして、思い出さなければいけない何かがある気がして仕方がない。
電話番号を登録して、夕食などを済ませてから眠りについた。
――。
…ここは…ああ、夢だ。
そんな風にすぐわかるくらいの明晰夢。
ここはどこだろう…。
どこか昔の西洋っぽい街並み。
沢山の人が行き交う中で、私は一つの人影を見つけた。
私にとても良く似た軍服姿の女性。
その人は今日の私と同じように、服屋のショーウインドウに飾られた可愛らしい服を眺めている。
あれは私だ……そう直感が訴える。
真剣な眼差しで見つめているその表情は…笑っていると思う。
それくらいわかりにくい口角の上がり具合。
私もこんな風なんだろうな…と思った時だった。
「こんにちは、そこの笑顔が素敵なお嬢さん。よかったら僕とお茶でもせーへん？」
(『…え？』)
今日私に声を掛けて来てくれた彼と全く同じセリフ、同じ声。
でもショーウインドウを眺めている私は気が付かない。
たぶん自分に言われているとは思っていないからだろう。
笑っている事に気付かれた事なんて今まで全く無かったのだから。
「あれ…聞こえへんかったんかな。そこの黒髪でセミロングの服を眺めてるお嬢さーん！聞こえてるー？」
『…へ？』
「あ、やっとこっち向いてくれた。そうそう、キミの事やで」
『あの…笑顔…って…』
「え？だってキミ今笑っとったやろ？」
『そう…ですけど、私表情が読み取りにくいらしくて今まで笑ってる事に気付かれた事なかったので…』
「あー、確かにわかりにくい変化やったかもなぁ。でもちゃんと笑っとったやん？」
『……』
「どうしたん？そない驚いた顔して」
『！……笑っているのを気付かれたの初めてで、びっくりして…。それに驚いている時も気付かれない事が多いので…』
「ふふ。僕はちゃあんとわかるよ。で、よかったらお茶せーへん？」
『あ……えっと、すみません。今日はこれから城に行かないといけなくて…』
「城に？何かお呼ばれしたん？…ってその服、軍人やもんなぁ」
『はい。今日は幹部に昇進する昇進式があるので…』
「…！へぇ…そうなんや」
そう言うと彼は不敵に笑った。
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狐闇時 (こやみとき) ゾムさんすこ 歌い手目指してます！ - まだ全部は読めてないのですが、むっちゃ面白いです！！ ちょくちょくコメントかきにきていいですか。。。！ 名前のところは狐闇時だけです！！ (7月29日 21時) (
レス) @page11 id: 558a88220b (このIDを非表示/違反報告)
淋(プロフ) - ゆきなさん» コメントありがとうございます！knさんは漸く思い出しました…先は長いですｗ (2020年5月17日 23時) (レス) id: 581caf22ad (このIDを非表示/違反報告)
ゆきな(プロフ) - 思い出してほしいですなぁ (2020年5月16日 16時) (レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
淋(プロフ) - わぐさん» コメントありがとうございます！読んでいただけて嬉しいです！今は外出できないからこそこういう楽しみがあるのって大事ですよね…！お気遣いありがとうございます＾＾ (2020年5月16日 9時) (レス) id: 581caf22ad (このIDを非表示/違反報告)
淋(プロフ) - 紫【ゆかり】さん» 優しさ、大事っスな！ (2020年5月16日 9時) (レス) id: 581caf22ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：淋 | 作成日時：2020年5月5日 20時
