鬱 ページ4
振り向いた…まではよかったけれど動けない。
笑顔…って言ったよねこの人。
今まで、特に笑顔を他人にわかってもらえることなんてなかったのに。
パニックでぐるぐると考えていると、その男子生徒はすぐ近くまで来ていてさらにびっくりする。
どう、しよう、どう答えたらいいんだろう。
私が固まっていると、心配そうな顔で覗き込まれた。
「えっと…大丈夫？そんな驚くような事言った？僕」
『…！』
驚いている事まで気付かれるなんて…。
いや、まだ驚いているのは多少わかりやすい方だ。
目が少しは見開いているから…うん、たぶん。
どうしようどうしようとそればかりが巡って何も考えられない。
「急にごめんな？それでよかったら……って、え！？」
彼の言葉が終わらないうちに、何故か私は走り出していた。
もう完全に頭がパンクしてしまって、つい逃げてしまったのだけど…。
だがそこでパシッと腕を掴まれ私の動きは止まる。
し、失礼な事してしまった。
怒っているだろうか…。
怖くて後ろを振り向くことができない。
「待って。せめてこれ…受け取ってや」
そう言って渡されたのは折りたたまれた紙片。
掴まれている手に握らされる。
どうやら怒ってはいないようだ…。
でも失礼な事をしてしまったのには変わりない。
私は俯きながら彼の方を向いて何とか言葉を絞り出した。
『あの…失礼な事してしまって、すみません。えっと…』
「無理に話そうとせんでもええよ。ゆっくりで大丈夫やから。僕、同じクラスの鬱って言います。よろしゅうしてな、Aちゃん」
『え…！同じクラスの、人…？』
驚いて顔を上げた先には苦笑した鬱…くんの姿。
ut「そ。同じクラス。まぁ最初っから皆顔覚えろなんて無理な話やし、しゃーない。気にせんでええよ？」
『あ…ありがとう、ございます』
ut「ふふ。で、よかったら僕とお茶でもせーへん？」
『あ…。ごめんなさい。その…ちょっと今…混乱してて…』
ut「混乱？」
『私の、笑ってるの見分けた人、初めてなので…』
ut「そうなん？可愛い笑顔やったんに」
『ふあ！？』
驚いた声を上げれば鬱くんはクスクスと笑った。
あ…れ…？
この笑った顔、どこかで見た事がある…ような…？
ut「まぁ会ったばっかりやしなぁ。名前覚えてもらえただけでもよしとするか。それじゃあまた明日なAちゃん。今度は一緒にお茶しよな」
そう言って彼は去っていった。
嵐のような時間だった…。
どこか懐かしいと思ったのはなぜだろう？
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狐闇時 (こやみとき) ゾムさんすこ 歌い手目指してます！ - まだ全部は読めてないのですが、むっちゃ面白いです！！ ちょくちょくコメントかきにきていいですか。。。！ 名前のところは狐闇時だけです！！ (7月29日 21時) (
レス) @page11 id: 558a88220b (このIDを非表示/違反報告)
淋(プロフ) - ゆきなさん» コメントありがとうございます！knさんは漸く思い出しました…先は長いですｗ (2020年5月17日 23時) (レス) id: 581caf22ad (このIDを非表示/違反報告)
ゆきな(プロフ) - 思い出してほしいですなぁ (2020年5月16日 16時) (レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
淋(プロフ) - わぐさん» コメントありがとうございます！読んでいただけて嬉しいです！今は外出できないからこそこういう楽しみがあるのって大事ですよね…！お気遣いありがとうございます＾＾ (2020年5月16日 9時) (レス) id: 581caf22ad (このIDを非表示/違反報告)
淋(プロフ) - 紫【ゆかり】さん» 優しさ、大事っスな！ (2020年5月16日 9時) (レス) id: 581caf22ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：淋 | 作成日時：2020年5月5日 20時
