公子さんが本当にシスコン過ぎる

ありがとう鍾離先生 ページ29

『………っ！タルっ……っタリヤ……！』



地面に衝突する寸前、私はタルタリヤによって抱き止められていた。



『っタルタリヤ……うあぁぁあ……私、私……！！ 怖…かっ…たよ…ぉ……っ』



安堵の涙がとどめなく溢れてくる。



私は怖かった、と泣きじゃくることしかできなかった。



「うん、怖かったね」



彼はそう言って慰めてくれる。








しかしそこで、





グォォォオオオオ……



爆炎樹だ。



「やっば、倒さないと……大丈夫？ 立てる？」



『まっ……！ 腰が、抜けて…』



やばい私、お荷物だ。邪魔しちゃいけないのに。



『私はここで座ってるから、倒して来て！』



「いや、でも…」



戸惑っているタルタリヤ。



どうしよう、私のせいで…







『え』



その瞬間、爆炎樹が倒された。


倒れる爆炎樹の前には、3人の人影が。



そっか、魈さま達だ。この一瞬で倒したらしい。



みんなは私の方に走って来てくれる。



「A！！ 大丈夫だったか！？！？」



そう言ってくれたのはパイモンちゃん。

すごく慌ててる。そんなに私を心配してくれたみたい。



『大丈夫だよ、パイモンちゃん。心配かけてごめんね』



「うう、A……！」



パイモンちゃんは、大粒の涙をボロボロと流して私を見る。



「……ふん、我の忠告を聞かなかったからだ」



そう言う魈さま。



『うう、全くもってその通りです…。ごめんなさい…』



私は謝りつつ彼を見る。



『……！！』



驚いた。



魈さまの髪は乱れていて、目は少し潤んでいる。



心配、してくれたんだろうか。



「………無事で良かった」



ぶっきらぼうに、そう言ってくれる魈さま。



『……！ はい…！！』



私がそう言うと彼は、ふん、とそっぽ向く。



空くんは私を見てほっと胸を撫で下ろしている。



「はは、何はともあれ助かって良かったな、A」



鍾離さんも、安心したようにそう言ってくれた。















やばい、待って。



みんな、私をこんなに心配してくれてる。



どうしよ嬉しすぎる。



『うう〜、みんな本当に心配かけてごめんなさいっ！！』



「なーに言ってんの。俺はAが無事ならそれで十分だよ」



タルタリヤのその言葉にみんなは頷いている。



『みんな〜〜〜！！』



私はなんて幸せなんだろう。



この人達と一緒に暮らさせてくれてありがとうございます、神様。




あ、神様は鍾離さんだ。ありがとう鍾離さん！

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