30☆寿視点☆ ページ40
元の時代に戻れなくなってから二週間ほど経った。
まだ誤魔化せているだろうか。
口先では『もう大丈夫だ』なんて言っているが、大丈夫な訳が無い。
活動停止処分を食らって初めて、生き甲斐を失ったような気がした。つまりは絶望である。
刀剣男士達はずっと、本丸で自分の帰りを待っている。
出陣命令さえ下すことが許されず、出陣出来ない生活を強いられている刀剣男士達のことを思うと、どうしようもなく泣きたくなってしまう。
それでも毎日のようにメールを送ってくる奴らだけが心の拠り所だ。
ただ、そればかりに頼り過ぎているせいであろう。元の本丸が恋しいという気持ちばかりが増幅して、今するべきことが一体何なのか分からなくなっている。
そんな中で働き始めたが、工事現場で働きたいと思ったのはやはり「体を動かしたい」という理由からだった。
がむしゃらに体を動かしている時だけは、何もかも忘れることが出来る。内職などのちまちました作業なんて以ての外だ。
そうやって軽々しく就職先を選んだことについても、後でかなりの罪悪感に襲われた。
いつもそうだ。
自分の直感だけに頼って、周りの人を巻き込んでいる。
貴方「寿ー、夕飯ー」
ふと、扉を隔ててAの声が聞こえた。
今までの思考を掻き消して台所の方へ向かう。
最近は食欲も落ちてきている。
美味い飯であるはずの物を胃に無理やり押し込み、早いところ部屋に戻る。
それを五人は心配そうな目で見ていた。
でも、今の思考さえバレていなければいい話だ。
心配されたら『仕事で疲れていた』とでも答えれば良いのである。
そういえば、師匠は自分のことをどう思っているのだろうか。
先程送られてきたメールによると、師匠の本丸に政府から監視役が派遣されてきたらしい。
自分とは無関係な人間なのに、一日中役人に監視されるなんてたまったものじゃないだろう。
今師匠が自分に対して何を思っているかを聞けないということにも不安を感じる。
にしても、師匠は本当に凄い人だ。
弱い自分を努力で克服して、誰にも負けないくらいの大きな思いやりを持って、皆から慕われる審神者になっている。
それも、自分の手が届かないくらいに。
だから俺はまだ、彼に弟子と認めて貰えない。
彼の弟子を名乗れる程の実力を身に付けるまでは。
〜追記〜
似たもん同士の師弟(仮)。
公立受験のためまた一ヶ月逝ってきますねサイナラ〜
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りなほ@受験生(プロフ) - ありがとうございます(`・ω・´)私自身青江クラスタなのでそう言って頂けるとホントウレシィ… (2016年12月18日 0時) (レス) id: 762ecccfb8 (このIDを非表示/違反報告)
腐り始めた豆腐 - ↓青一江じゃないです。アオーエです。 (2016年12月17日 20時) (レス) id: 20ecaa2ed9 (このIDを非表示/違反報告)
腐り始めた豆腐 - もう……本当にこの小説大好きです(笑)寿も東も夢主も大好きだぁー!!東の本丸の青ー江が好きすぎる。更新楽しみにしてます! (2016年12月17日 20時) (レス) id: 20ecaa2ed9 (このIDを非表示/違反報告)
りなほ@多忙(プロフ) - この話は割と寿中心なのです( ˇωˇ )トラブルメーカーェ…グラサンは大爆笑でした (2016年11月1日 23時) (レス) id: 762ecccfb8 (このIDを非表示/違反報告)
白鶴(仮)@プリンは犠牲になったのだ - 寿…お馬鹿さんですか、お前は…… グラサンwwそういやそうだったwwwww (2016年10月31日 14時) (レス) id: 064ce5e387 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:そると | 作者ホームページ:
作成日時:2016年9月19日 21時