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通話を終了してふと時間を見ると、既に日付は変わり、一時になっていた。
いつもなら皆で酒盛りをしているか寝ている時間帯だが、こんな心境で眠れる訳がない。
そういえば、伊達組の奴らはどうしているだろう。
太鼓鐘がどれだけ頑張っても寝落ちする時間だから、もう眠っているか。
確かAもこの時間までは起きていなかったはず。
部屋の扉を静かに開け、誰もいないことを確認しながら部屋から出る。
端末の光を頼りに寿は玄関まで来ると、スニーカーを足に引っ掛けた。
そして、なるべく音が出ないように扉を解錠し、外に出た。
夜とは言えど、やはり少し蒸し暑い。
生暖かい夜風に当たりながら、寿は目的地へと足を運んだ。
目的地とは、狭間を置いていた路地裏だ。
正しくは路地裏だった場所。
今はただの瓦礫の山。
立ち入り禁止の看板を無視して、寿は崩れたコンクリートの上を歩く。
しばらく俯きながら歩くと、探していたものをやっと見つけた。
コンクリートの間から見えるほんの微かな光。狭間だ。
乗っかっている大きな瓦礫を取り除けば入れそうなものだが、塞がれているということは瓦礫がいくらか中に入ってしまったのだろう。
つくづく掃除機みたいな道だと思う。
寿はそのまま手をかざして力を込める。
光は徐々に小さくなり、やがて消えた。
狭間を消したのである。
これが無いと一人では帰れないのだが、一般人に見つかっては面倒だ。師匠に迎えに来て貰おう。
用が済んだ寿はくるりと踵を返し、その場から立ち去ろうとしたが、ひとつ何かを思い付いた。
今回の件は、全て俺のせいだ。
厳密に言えば、刀剣に暴力を振るったりしていた昔の俺のせいだ。
逆に言えば、刀剣に暴力を振るったりしていなければ、ここまで面倒なことにならなかったはずだ。
歴史改変。
その四文字が脳裏をよぎった。
ああ、そうだ。
自分の犯したことは、自分でケリを付けなければならないんだ。
それじゃあ、なかったことにすれば良いんだ。
元凶である暴力行為を。
寿の理性は、もう働かなかった。
大丈夫、これくらいなら一晩で十分だ。
その一心で流れるように狭間を作ると、寿はその狭間の中に飛び込んで行った。
〜追記〜
包丁藤四郎とかいう三平のネタ的に美味しすぎる新刀剣男士。
宣伝ですがレジン沼最深部なう。なんてものを作りやがりました。手芸作品あげてます。良ければどうぞ〜
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りなほ@受験生(プロフ) - ありがとうございます(`・ω・´)私自身青江クラスタなのでそう言って頂けるとホントウレシィ… (2016年12月18日 0時) (レス) id: 762ecccfb8 (このIDを非表示/違反報告)
腐り始めた豆腐 - ↓青一江じゃないです。アオーエです。 (2016年12月17日 20時) (レス) id: 20ecaa2ed9 (このIDを非表示/違反報告)
腐り始めた豆腐 - もう……本当にこの小説大好きです(笑)寿も東も夢主も大好きだぁー!!東の本丸の青ー江が好きすぎる。更新楽しみにしてます! (2016年12月17日 20時) (レス) id: 20ecaa2ed9 (このIDを非表示/違反報告)
りなほ@多忙(プロフ) - この話は割と寿中心なのです( ˇωˇ )トラブルメーカーェ…グラサンは大爆笑でした (2016年11月1日 23時) (レス) id: 762ecccfb8 (このIDを非表示/違反報告)
白鶴(仮)@プリンは犠牲になったのだ - 寿…お馬鹿さんですか、お前は…… グラサンwwそういやそうだったwwwww (2016年10月31日 14時) (レス) id: 064ce5e387 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:そると | 作者ホームページ:
作成日時:2016年9月19日 21時