少年期102 ページ25
眠る我愛羅の額の愛に口付ける。
唇を離すと、我愛羅の閉じられた瞳から一粒涙が溢れ落ちる。
『我愛羅のこと、泣かせちゃったね…』
自身の頰にも同じように温かいものが伝うのがわかる。
今度は額ではなく、唇に、そっと優しく、愛を込めて口付けた。
おもむろに立ち上がると、先程貫かれた左肩にチャクラを流し込む。
少しずつ塞がっていく傷口。
『我愛羅…』
愛おしい名前を、口ずさむ。
『我愛羅…我愛羅……我愛羅っ……』
サヨナラと伝えたのに、何度も呼んでしまう。
サスケのチャクラと、ナルトのチャクラがぶつかり合うのを感じる。
溢れる涙を手の甲で拭き取る。
『さよなら…』
もう一度、我愛羅をしっかり見つめると、
駆け出した。約束を、果たすために。
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一瞬、ナルトから九尾のチャクラが溢れ出る。
今、自身はシンカの力を使えないから走りながら解決策に思考を巡らせていた。
だがすぐに九尾のチャクラが収束していく。
ザッ…
『サスケ…』
目の前にはナルトが倒れていて、サスケもナルトのすぐそばで跪いている。
雨が降り出す。
サスケ「…名前……」
サスケは一度だけこちらを見やると、フラつく足で立ち去ろうとする。
『サスケ…!』
サスケはピタリと足を止める。
サスケ「俺は、イタチを殺す。その為に、全てを捨てると決めたんだ」
サスケは振り返ろうとしない。
先程、我愛羅と別れた時とはまた違う涙が、雨に混じって頰を伝う。
サスケ「名前…お前も俺を止めるなら、お前も倒す…」
名前はサスケに一歩近づく。
サスケが顔だけ振り返り睨みを利かす。
『止めない…っ!』
サスケ「……!」
『止めないから…、私も……、私も連れてって…!私を独りにしないで…!お願いっ…!』
サスケは目を見開いた。
目の前の少女は、自分についてくるという。
考えてもいなかった。
サスケ「名前……お前に全て捨てられるのか?」
彼女はなにも答えない。
ただ真っ直ぐにサスケを見据える。
サスケは前に向き直り、歩を進める。
彼女がついてくる気配はない。
振り向くと、彼女は両膝を地について先程サスケ自身がとっていたような体制になっている。
「お前はオレを独りにして、他里に行ったってのに……勝手なやつだ…」
顔を上げれば目の前でサスケが微笑んで手を差し伸べている。
その手を迷わず掴んだ。
第1部-完-
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里奈 - 2部出来ましたら、URLをお願いします!2部楽しみにしてます! (2019年7月24日 19時) (レス) id: 167fdf8826 (このIDを非表示/違反報告)
雄飛~Yuhi~ - 我愛羅が凄く好きなので、我愛羅との絡み、楽しみにしてます!!!!更新頑張って下さいp(^-^)q応援しています!!!!!!! (2018年12月22日 23時) (レス) id: 17482f2c04 (このIDを非表示/違反報告)
マスラ - 面白いです!続き楽しみにしています。更新頑張ってください!(≧▽≦) (2018年11月4日 19時) (レス) id: 9b6ae3d64f (このIDを非表示/違反報告)
rina214skt2(プロフ) - ベコさん» レスボタンが押せました!コメントありがとうございます(`・ω・´)気長にお待ちいただけたら嬉しいです。私も我愛羅大好きなのでもっと出せるように頑張ります! (2018年9月3日 0時) (レス) id: bb6660352e (このIDを非表示/違反報告)
ベコ(プロフ) - 更新頑張って下さい!凄く楽しみに待ってます! (2018年8月6日 9時) (レス) id: 7f4e6905fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あめ | 作成日時:2018年6月2日 12時