私と君とあの人。【三輪秀次】-完-

33.再開する2人 ページ33

side_三輪



切っても切ってもスッキリしなかった。
目が覚めたと一報を受けた日もすぐにでも会って抱きしめたかった。



三輪「くそっ…！」


近界民め…。
姉さんだけでなく、名前までっ！



『三輪くん、近界民を恨んでる？』


どこかで聞いたことのあるフレーズが横から聞こえてくる。


三輪「…名前」

『もう…、彼女のお見舞いに来てくれないなんて…、ひどい彼氏ね！』

名前は困ったように笑っていた。


三輪「すまない。名前が一度目覚めた時、側にいたんだ、その時のお前はお前でなかった。もし、もしお前が変わってしまっていたらと思うと…」


『迅からその話、聞いたよ。
返してって言ってたらしいね、多分母が城戸さんに伝えたいことがあったんだと思う。
あの時の私は、私ではなくて私の母なのよ。』



俺は名前を抱きしめた。


三輪「必ず無事で帰ってくると約束しただろ」

『ごめんなさい』


名前の手が背中に回る。


三輪「約束を破った罰だ。これから先、何があっても俺を置いて死ぬな」

『うん…、わかった。』


でも、と彼女は言葉を続ける。


『私は、近界民に自分の罪を押し付けることで、罪の意識を薄れさせてた。色々あって、それが無くなったの。蒼也くんとも仲直りした。

だから…、これからは…んっ！』


風間さんの側にいたい。
そう言われるような気がして、俺は咄嗟に名前の口を塞いだ。



別れない。
嫌だ。
絶対離さない。

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