私と君とあの人。【三輪秀次】-完-

30.ただいま、おかえり ページ30

side_名前


うっすらと目を開けると真っ白な天井がボヤボヤと見えた。
左手に暖かい感覚を覚えて見てみると、蒼也くんが手を握ったままベッドに突っ伏して眠っている。


身体を起こそうと動いてみる。
全身がミシミシと音を立ててひどく痛んだ。


『…ったぁ！！！』


思わず声が出る。


ガバッと蒼也くんは起き上がる。
上半身だけ起き上がっている彼女に目を見開き、心底驚いた顔をする。


風間「…名前？、」

『…はい。』

なんだか、気まづい。
こっちの気などお構いなしに、蒼也くんに思いっきり抱きしめられた。


『ちょっ！いたいいたい！なんだかよくわからないけど、全身が痛いの！！』

風間「約半年も寝たきりだったんだ。当たり前だろ？」


半年、、、？


『半年？！』

蒼也くんは、あっけらかんと、ああ。と短く返事をした。


『もう私高校退学じゃないのかな？え？ていうかむしろA級剥奪？ていうか、なに？なにごと？！』


風間「落ち着け、名前。特に変わったことはない。
ただ、三輪だけは、姉に続きお前ときたら、、、」

『秀次、、』


あっ！私は思い出して、顔を思いっきり上げ、蒼也くんを見つめた。


風間「なんだ、、、？」

蒼也くんは訝しげに私を見た。


『母さんに会ったの。』

私は蒼也くんの頬に触れて、サイドエフェクトを発動した。







ほんの一瞬なのに、あの出来事を全て伝えられる。
私のサイドエフェクトは便利だと思う。




『蒼也くん！ただいま！』


風間「おかえり、名前」


私は蒼也くんに抱きついた。

31.一つだけ足りないもの→←29.本当の過去

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す