私と君とあの人。【三輪秀次】-完-

29.本当の過去 ページ29

side_名前


「風間くん！」

母は昔からおにぃを風間くんと呼ぶ。
蒼也くんは蒼也くんなのに、おにぃのことは風間くんだ。


蒼也くんのパパと私の母は幼馴染だった。
母曰く、おにぃは若い頃の風間パパにソックリだそうだ。



「グッ、、。苗字....さん。」

おにぃは口から血を吐く。内臓を激しく損傷しているのは一目瞭然だ。


「風間くん、すぐに搬送するから！」


おにぃは母の言葉に首を横にする。


「名前を、、、ゲホッ、、、逃げ、、ろ、、と。
生きないと、、許さない、、と、、ガッ！」


おにぃの全身から力が抜けていった。


「風間くん！！！」


ドーーン


母のすぐ側で大きな爆発音がした。
母の周りは近界民であふれていた。



しばらく、真っ暗な闇が続く。
すると、母の声だけが聞こえてきた。


「____くん、必ず名前がA級まで、、実力で上がってきたら渡して、、あげて、、ね。」




そこでサイドエフェクトの効果は幕を閉じた。



気がついたら、自分は涙を流していた。


『おにぃは、、私を許さないんじゃっ、、、ないの、、？』


《違うわ。大事な大事な妹を許さないなんてこと、あるわけないでしょ？》



『おにぃ、ごめんね、、ごめんねっ、、、』


フワッと暖かいものに、頭を撫でられる感覚がした。


《謝って欲しいんじゃないって。前を向いて、蒼也くんと仲良くして欲しいって、そう言ってるわ》



『！…ありがとう、おにぃ』


《さて、そろそろあなたは元の世界に戻らないと、戻れなくなっちゃう。気をつけて、名前。
悠ちゃんがなんとかしてくれる。悠ちゃんを信じなさい》


迅？



待って！

まだ、聞きたいことが！



母さんっ！！！

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