私と君とあの人。【三輪秀次】-完-

24.真実を知る第三者 ページ24

side_迅



つい5日ほど前、名前に話したことがある。
それはこれからの未来に関わることで、直接的に名前の生死に関わることではなかったので、本人に決めさせるべきだと思い、話したことだ。




迅「遠征に行かないで、秀次との確実な未来を選ぶか。遠征に行って、少しだけ苦しい思いをして、風間さんを助けるか。」


『悠ちゃんと私のサイドエフェクトの相性ってどうしてこんなにいいんだろうね』


名前は笑った。
俺の見る未来を、名前も見たのだろう。


サイドエフェクトのせいで、名前があまり俺を好きになれないことを俺は知っていた。
本人は隠しているみたいだが、実力派エリートたるもの、人の深層心理を見破るのは得意だった。



迅「名前、遠征に行くな。俺の未来視は確実的な未来も見れる。でも、お前の未来は不確定要素が多すぎる。死には関わってなくても同等の何かが起こるんだ。」


『迅』


彼女にそう呼ばれるのは久しぶりだった。
俺が入隊した時は、そう呼ばれていたのを思い出す。


『迅、私は遠征に行くわ。』

彼女の目は強い意志が眼光となって現れているかのようだ。


迅「秀次が辛い思いをしても？」


『そりゃ、もし死ぬんなら、秀次はより近界民を憎んでしまうだろうけど、、、
でも、秀次には悪いけど、遠征に私が行った先の未来に城戸さんが見えた。その先が見たいのよ、私は、その分岐点までたどり着きたいの。』


迅「なぜ君は、そんなに近界民を憎むんだ」



『自分の罪の意識を、近界民に押し付けているだけよ。
それに、今回の遠征で蒼也くんの未来が良いものになるんでしょ？だったら行くわ。』





そうだ、それでいい。
遠征に、彼女は行くべきなのだ。

秀次には、悪いが、一度名前は名前でなくなる。
行くなと言えば、彼女が行くことはサイドエフェクトによってわかっていた。



去っていく名前の背中に俺は話しかける。






迅「お前ははやく、真実を知るべきだよ」

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