19.忘れていた日 ページ19
side_三輪
暗い雰囲気を壊すためか、名前は笑顔でありがとうっと言うと、トイレに行ってくる!と勢い良くリビングを飛び出していった。
俺はまだ写真の前に立っていた。
旧ボーダーの写真も気になるが、なによりも風間家との写真が気になった。
俺たちと同い年くらいの風間さんに、風間さんと同い年くらいの風間さんの兄。
風間さんの名前を見つめる目は、俺のそれと良く似ていた。
パチ
突然電気が消える。停電か?
まさか、門がどこかで開いて影響が出ているのか?
勢い良く振り返る。
『秀次、お誕生日おめでとう!!』
そこには、ケーキに立てられたロウソクに火を灯して、満面の笑顔がロウソクの明かりによって照らされた名前が立っていた。
三輪「、、、完全に忘れてた」
『だと思った。』
吹いて!とケーキをズイっと突きつけられて、思わずふうっと強めに火に息を吹きかけた。
こんなに誕生日らしい誕生日は久しぶりだった。
ケーキを机に置き、電気をつけた名前はこちらに戻ってくる。
『あらためて!おめでとう〜〜』
と差し出されたのは、綺麗に包装された紙袋だった。
素直にそれを受け取る。
三輪「開けていいか?」
名前は恥ずかしそうに頷いた。
中身は真っ白なマフラーだった。
『ちょっと早いけど、これからどんどん寒くなるから、実はね、奈良坂くんに協力してもらって作ったの』
少しモヤモヤしたままの心が晴れた気がした。
『奈良坂くんて器用そうだから、マフラーの編み方とか知ってるかな?て思って聞いたら、やっぱりできるって言われてね、秀次の誕生日にマフラーをあげたいって言ったら、快く了承してくれて、
駅前のショッピングモールで何色がいいか、とか。どんな素材の毛糸を使うかとか、色々付き合ってくれて。』
どんどん晴れていく心。
奈良坂との浮気を疑っていたわけじゃないが、自分の嫉妬心を彼女に見せるのは恥ずかしかった。
『それで、防衛任務の後とかにも編み方のわからないところとか、失敗しちゃったところ治してもらったりして、、、』
照れ隠しなのかよく喋る名前の口を自分の口で塞いでやる。
三輪「大事に使う。」
自分でもわかる。幸せに満ちた表情をしているのだろう。
名前は一瞬驚いた顔をして、でもすぐに笑って頷いた。
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rina214skt2(プロフ) - アイカさん» そうなんですか?!ダウンロードしてみます!ありがとうございます\(^o^)/ (2015年8月8日 13時) (レス) id: e1a54c24f8 (このIDを非表示/違反報告)
アイカ(プロフ) - rina214skt2さん» そうですね。いちいち上に行ってマイページ押さなくてもマイページ行けますから扱いやすいです (2015年8月8日 10時) (レス) id: 0cd967d7be (このIDを非表示/違反報告)
rina214skt2(プロフ) - アイカさん» なるほど、、!アプリの方が読みやすいですか?? (2015年8月8日 10時) (レス) id: e1a54c24f8 (このIDを非表示/違反報告)
アイカ(プロフ) - rina214skt2さん» ですよね!(そうですよアプリありますよ。読み専&コメ専として使ってますね。 (2015年8月8日 4時) (レス) id: 0cd967d7be (このIDを非表示/違反報告)
rina214skt2(プロフ) - アイカさん» 毎日愛でて暮らせますよね、、。笑やはり同一人物さんなのですね!だと思いました!アプリあるのですか?ダウンロードしようかな、 (2015年8月8日 4時) (レス) id: e1a54c24f8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あめ | 作成日時:2015年8月4日 0時