猛暑日 ページ4
「名を明かす必要性が感じられません。今から貴方に命令を下します。外に出てください」
『っ……。それは、どうして…?』
震えていた。
それでも、ただこの声に従うのは危険すぎた。それはわかった。
「その理由を明かす必要性も感じられません。私は命令をしているのです。」
命令とは、つまり、上下関係があるんだ。
例えば、私に不利な条件。
「今、岬河高校に向かっている黒髪に三つ編みの女を殺されたくなければ命令通りに動いてください」
『…っ!』
再び、鳥肌が立つ。
さきほど私に連絡をよこした友人のことを指していた。
知っている。この電話の主は、私のことをはっきりと。
恐る恐る立ち上がり、念のため鞄にものを詰め込んで外へ出た。
だからといって鞄の中にあるのは教科書、ノートの束やペンケースに入った文房具くらいのもの。
大したものはない。
…だが、物を持っているだけで何もないより余程 安心できるのだ。
『出ま、した』
携帯越しに、声の主にそう言った。
間が長くて、電話が切れたのかとすら思ったが…直ぐに返事は来た。
「物分りが良くて助かりました。それでは___」
きっと、次の命令だ。
携帯を握る手にはじんわりと汗が滲む。…だが、指先はかなり冷たい。
頬を伝う汗。この日は猛暑日だったみたいだ。
「死んでください」
『……っは、?』
もう、訳が分からなかった。
それから、携帯を落とした。
汗が尋常じゃないくらいに溢れた。
だって、私の目の前には、銃口をこちらに向けた男が立っているのだから。
地面に落ちた携帯から。
妙に楽しげな言葉が聞こえた。
「さて、“アカイ リンゴ”の皆さんは__ヒーローにでもなれますか?」
五月蝿いくらい、蝉は元気に叫んでいた。
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リナ@オリジナル小説垢(プロフ) - イゼッタさん» コメントありがとうございます!pixiv、やってるんですけど完全に見る専なので…w別垢を作ったらやってみようかなぁと思います!ご提案ありがとうございます! (2018年7月14日 18時) (レス) id: 3385c13a93 (このIDを非表示/違反報告)
イゼッタ(プロフ) - この作品、とても良いのでpixivであげてみては? (2018年7月9日 13時) (レス) id: 1f346eff48 (このIDを非表示/違反報告)
柳(プロフ) - リナ@オリジナル小説垢さん» いえ!こちらこそ受け取って頂けて嬉しいです! 相棒を続ける内に結弦君のSがうつっていったらこんな感じかなぁなんて思いながら描きました(*´∇`*) 作品に貼っていただけるとは……感謝です! それでは(^-^)/ (2018年6月30日 16時) (レス) id: 4785678acf (このIDを非表示/違反報告)
リナ@オリジナル小説垢(プロフ) - 柳さん» わー!本当にありがとうございます!!カッコいい…!そう言っていただけるととても励みになります…!画像、作品内で貼らせていただきますね! (2018年6月30日 11時) (レス) id: 3385c13a93 (このIDを非表示/違反報告)
柳(プロフ) - http://uranai.nosv.org/uploader/common/f/7/b/f7b5dc0fea6a4df1dd9bff02e3179e80.jpg これで見られますかね? 画像が、見られない場合は言って頂けると幸いです。 少しでもリナさんの応援になればと思います。 それではまた、読みに来ますね! (2018年6月29日 11時) (レス) id: 4785678acf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リナ@オリジナル小説垢 | 作者ホームページ:http://uranai
作成日時:2018年3月30日 11時